国民の消費を喚起し、経済が成長する政策
もちろん、極端に巨額の現金給付を行ったら、国民の大半が勤労意欲を失い、高インフレになるでしょう。しかし、勤労意欲を損なうことなく、消費を喚起する効果のある政策もあります。
それは、政府が、現金を給付するのではなく、仕事の機会を与えて給与を増やすという政策です。具体的には、公共事業を行ったり、公務員として直接雇用したりするのです。
そうすれば、国民は働くので供給が減ることはなく、むしろ増えます。同時に、給与が増えて所得が上がるので、消費も増えるでしょう。供給も需要も増えるから、高インフレにならずに経済が成長するというわけです。
もし、矢野次官が、「消費を喚起したいが、現金給付ではその政策効果がない」と言うのであれば、現金給付以外の政策で、直接的かつ確実に、消費を喚起する効果のある政策を講じればよいのです。
それは、消費税の減税です。
現金給付に反対する理由は財政赤字の削減だけ
特に、生活困窮者ほど、所得に占める消費の比率が高い。ですから、消費税の減税こそ、「本当に困っている人たち」を助け、消費を喚起する政策になるでしょう。ところが、矢野次官は、消費税の減税には猛反対しています。そればかりか、消費税の減税を求める政治家たちの政策論を「バラマキ」呼ばわりしました。
要するに、矢野次官は、現金給付には「消費を喚起する効果に乏しい」という理由で反対しながら、消費を喚起する気など、さらさらないということです。というのも、彼の頭の中には、国民の救済も消費の喚起もなく、ただ財政赤字の削減があるだけだからです。
いずれにしても、「財政の余地」「政策目的」「政策効果」のどれも曖昧にしたまま、財政支出の拡大と言えば、条件反射的に「バラマキ」呼ばわりして批判するような姿勢は、大いに問題があると言うべきでしょう。