金融リテラシーが低いと“いいカモ”にされてしまう

少し話はそれるのですが、先日、とある保険会社の方が何度も口にしていた単語は「金融リテラシー」でした。その人は営業の方だったのですが、「お金のリテラシーは大切だけど、リテラシーが高くなればなるほど、うちの商品が売れなくって困るんですよねえ」とぼやいていました。つまり、銀行の窓口で「今だけ金利3%」の商品を買ってしまった加藤さんにお金のリテラシーがもう少しだけあれば、この商品を掴まされることはなかったのです。

ネット銀行の台頭で誰でも手軽に投資が始められるようになった現在では、時間と手数料のかかる金融機関の窓口を利用しない方が、お得な場合が多いです。ゆえに、ノルマのある銀行員は生き残りをかけ、「今だけ金利3%」のキャッチコピーに素直に反応してくれる加藤さんのような客をどんどん取り込んでいこうとしています。そう、金融リテラシーが低いと、“いいカモ”にされてしまう危険性があるのです。

ちなみに、私が常日頃おすすめしている「つみたてNISA」は、窓口では手数料が安すぎて、銀行の儲けがほとんどありません。当然、彼から積極的に勧められることもないので、加藤さんはなけなしのボーナスを手数料が高く仕組みが複雑な投資信託につぎ込むことになったのです。

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「誰のアドバイスか」に気をつけた方がいい

先日、とあるタレントさんとお話する機会があったのですが、彼はつみたてNISAもiDeCoも小規模企業共済もやっていて、コツコツとお金を育てていました。20代前半でさほど投資に興味もないという彼に、その知識をどこから得たのか聞いてみると、「投資で結果を出している友人」というアンサーがありました。

加藤さんもタレントの彼も、「周りのアドバイスを聞いた」という点では同じかもしれません。しかし、そのアドバイスをした人が自分にとってどういう相手であるかは、非常に大切です。利害関係の絡む人からの提案は、よくよく検討すべきでしょう。

また、お客さんで大手外資系企業に勤めている人は、同僚のほぼ全員が当たり前のように投資をしていると言っていました。飲み会の席で、「え、投資してないの⁉ 絶対しなきゃダメ!」と先輩から勧められたことから私のお客さんもつみたてNISAや株を始めたのですが、自分の所属している環境によっても、金融リテラシーの格差がありそうです。もっと言うなら、どの業界に身を置いているかによって、今後は資産形成のスピードが変わってきそうだと感じました。