「選んでもらう」なんてまっぴら

「でも『何かが足りない』とは感じません」

収入は英国の平均年収額3万1000ポンド(2021年、日本円で約475万円)よりも少し多い。勤務先は入社3年目、PR部署で順調にキャリアを積んでいる。ようやくコロナ禍が終わりそうな今、これからどうやって観光産業を復興させていくかで頭がいっぱいだ。

「同棲の良さも面倒くささも、経験したので知っています。結婚はさらなる足かせ。どれも今の私には必要ないんです」と肩をすくめるレベッカさん。友人もたくさんいてよく集まる。趣味はダンス。そしていつかワイン投資をと、ソムリエ資格の勉強中。充実した暮らしを送っている。

だからといって男性とのお付き合いを避けているわけでは決してない。スマホのデートアプリを使うレベッカさんは、相手を見つけるのは簡単だという。

愛用のアプリは英国で最も普及しているティンダー(Tinder)や、バンブル(Bumble)だ。

後者は、まず女性から声をかけなくては始まらないシステムで、レベッカさんのように「誰かに選んでもらうのを待つなんてまっぴら」という女性に人気がある。ボーイフレンドと別れてから今までに7、8人の男性とデートした。1回会って終わりだったり、少し続いたりといろいろだが、ほぼ全員がアプリを通しての出会いだ。

「セルフパートナー」の時代がやってきた

同年代の女優エマ・ワトソンが英ヴォーグ誌のインタビューで「私のパートナーは自分自身。セルフパートナーなんです(self-partnered)」と語るのを聞き、「私のアイデンティティはこれだ!」と思ったそうだ。

英語に「ベターハーフ」という言葉がある。男女とも「半分」ずつの存在であり、よい結婚相手と出会ってはじめて1個になり完結する、という表現にいつも違和感を抱いていた。「どちらの半分も自分。1人で完結していてもいいじゃないですか。本人がハッピーなんだから!」と、自分自身と結婚式を挙げる「ソロ・ウェディング」にも憧れていると言う。

デートアプリを使って相手を見つける場合、プロフィールで「結婚の意思はない」とお互いに事前確認ができることが多い。これを利用して、既婚男性が独身と偽り、実は浮気相手を探すという例は絶えない。職場でも、「自立した女性はセックスをスポーツのように考えていて楽」と思いこんでいる男性もいて、結婚する気のない独身女性は変な理由からモテる。これはもちろん既婚女性には歓迎されない。