ネットで白熱する既婚vs.独身女性のバトル

英国最大のママ向けオンラインフォーラム「マムズネット」には、「30~40代の独身女性がやたらに増えて夫たちを誘惑している!」「『デートはするけど結婚はイヤ』という女性に、他人の結婚を壊す権利はない!」といった怒りの書き込みが並ぶ。自分の夫が不倫をしたのは、独身女性が夫の目の前をうろうろしているからだと言わんばかりだ。

対する独身女性たちは、「既婚男性に手を出すほど相手に困っていない!」「夫が浮気をしたいと思うようになったのは、妻側に原因があるのでは?」と反撃する。フォーラム内で盛り上がった会話はツイッターに飛び火することが多い。するとママ以外の人も参戦して既婚vs.独身のバトルに発展、結婚や交際に関するこの国の価値観の多様性が見事なまでに見えてくる。

どちらにしても、いまだに女性への風当たりが男性に対してよりも強い。

コロナでさらに増えた卵子凍結

レベッカさんのような女性の多くが「でも自分の子どもはいつか欲しい」という。不妊やがんの治療に備えるためなどの医療的な理由以外での卵子凍結保存は「ソーシャル・エッグフリージング」とも呼ばれるが、そのためにクリニックを訪れる40歳以下の独身女性の数は増え続けている。

生殖補助医療の公的機関であるHFEAは、卵子を採取し凍結するという件数が、30年前の年間6700件から、2019年には約10倍の年間6万9000件に達したと発表した。医療目的か、それ以外の目的かといった理由別の統計はないのだが、不妊を原因とする受胎治療数自体にはあまり大きな変化がないことから、その時に相手がいなくても、自分が選んだタイミングで母になるつもりでいる女性が増えたことがうかがえる。

また、コロナ禍のロックダウン中はデートもままならなかった。この期間に「このままでは、相手がみつかる頃には子どもを持つのが手遅れになるかも」と危機感を募らせた独身女性も、ソーシャル・エッグフリージング組に加わった。

ロンドンにある2つの大きなクリニックの調べによると、不妊が理由ではない卵子凍結希望者の98%が独身と答えており、その数は2020年から毎年倍の勢いで増えている。年齢幅は25歳から45歳、平均年齢は37.7歳だ。

クリニックのひとつでは「以前は自然に妊娠できない40代の既婚女性と、子どもが欲しい同性カップルが大多数だった。今は、『将来を考えて卵子凍結を』と来院する独身30代のほうが多くなってきた」と語っている。