「性格の不一致」が原因で離婚する夫婦には、どんな事情があるのか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「以前は表向きの理由として“性格の不一致”を挙げる夫婦が多かったが、最近は本当に価値観や意識の違いに限界を感じて離婚する夫婦が目立つ」という――。
浴槽の中の男性の足
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本当の意味での「性格の不一致」が目立つようになった

夫婦が離婚をする理由のトップは「性格の不一致」。その「性格の不一致」に、ここ数年変化が生じている印象だ。というのも、以前なら表向きは「性格の不一致」を掲げていても、実はその裏に別の理由が隠れていることも少なくなかった。

例えば、「パートナーの浮気や不倫」はその代表例。実際は、パートナーの浮気や不倫による泥沼なドラマがあったとしても、「性格の不一致」としておいたほうがスマートだし、それぞれの新しいスタートも踏み出しやすいからだ。

ところが、最近は本当の意味で「性格の不一致」が夫婦問題の原因になっている相談が目立ってきている。「価値観がまるで違うことがわかった」「意識の違いをどうしても埋められない」という「不一致」により夫婦間に埋められない溝ができた例として、こんなケースがある。

家族と自分のためにはじめた「オーガニックな食生活」

【CASE1】愛妻弁当をこっそり捨てていた夫

「友人から事実を聞かされた時、言葉では言い表せないほどの怒りと恥ずかしさで、言葉も出なかった」と話すのはR美さん(37歳)。6年前、共通の友人の紹介が縁で3歳年下の現在の夫と交際がスタートし、半年後に結婚。現在は4歳になる子供と3人で暮らしている。

R美さんがオーガニック系の食生活に目覚めたのは3年前。乱れた食生活で太りはじめた夫が、会社で受診した健康診断でいくつかの項目で再検査になったことと、R美さん自身の体調不良が重なったタイミングで、「オーガニックな食生活をはじめたら体調がよくなり、ダイエットにも成功した」という記事をネットで見つけたのだった。

もともと几帳面で真面目なR美さんは、オーガニック食材を使って作る料理教室に通い、家族と自分のために栄養の知識を学び、調理の基本を習得していった。「基本的な調味料もすべて手作りするようになってからは、体だけでなく肌の調子も目に見えてよくなったのがうれしかった」。