※本稿は、本田健『40代にとって大切な17のこと』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
愛する人たちが“モンスター”になり、あなたの人生を呑み込んでしまう
「40代」になって、ストレスが増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。
介護のやり方や遺産相続の問題で、親や兄弟姉妹と、気まずくなったということが起き始めたりします。「20代」「30代」では、人生は、比較的ポジティブなサイドに移動するのですが、そこに影が差し込んでくるのが、「40代」という年代だと僕は思っています。気をつけておかないと、知らないあいだに「自分」を失うことになります。
たとえば、
・「仕事」に自分を失う
・「家族の役割」に自分を失う
・「子育て」に自分を失う
というような状態に陥りやすくなります。
「失う」は、「呑み込まれる」という言葉に置き換えてもいいでしょう。
仕事や家族が「モンスター」となって、あなたを呑み込んでしまうのです。自分が好きなこと、愛する人たちのためにしていたことが、気がつけば、悩みや不機嫌のタネになって、なぜ自分はそれをしているのか、なぜ自分はここにいるのか、ということもわからなくなっていきます。自分を失う、とは、人生の目的はおろか、自分が存在しているかどうかさえ、実感できなくなっていくことです。
仕事が忙しくなると、家族との時間が削られるようになります。一緒にいたいから結婚したのに、一緒にいる時間がない、ということになるわけです。
パートナーや家族のためにがんばっているのに、そのパートナーや家族から無視されてしまう、感謝もされない、どんどん距離ができていく、ということもあります。
また40代に入ると、体力が落ちてきたのを感じたり、痩やせにくくなったり、髪が薄くなったり、といった外見的な変化も出てきます。
20代、30代の頃には、飲み会や合コンなどに行けば、けっこうモテていたのに、40代になった途端に声をかけられなくなった、と寂しい気持ちになったりします。さすがに40代で「老い」を感じる人は少ないと思いますが、けれども、「老い」に向かっていることが、チラッと見え隠れするようになります。
「30代」では、そんなふうに感じることはまったくなかったはずですが、「40代」では、それが始まるのです。「50代」になると、「老い」や「人生の終わり」というものが、よりリアルに感じるようになります。大きな病気でもすれば、自分の死というものが、決して遠くないところにあることを知るのです。
それに比べれば、「40代」は、まだまだ人生の途中で、「終わり」を意識する人は少ないでしょう。けれども、ふと、自分が誰だかわからなくなって、「一瞬の絶望」に襲われ、魔が差して自らの命を絶つ人もいます。