デフレが続くと企業は投資を渋り、人々の財布のヒモは硬くなる

反対に、デフレ下における借金は最悪です。物価は下がっていき、賃金も下がっていくということです。たとえば現在の1万円の借金が賃金の下がり続ける将来にさらに重たくのしかかってくるからです。

西田亮介『17歳からの民主主義とメディアの授業 ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください』(日本実業出版社)

日本はまさにこのデフレが30年続いている社会なわけですね。だからわれわれは借金したくないし、住宅ローンを除いてローンも組みたくない。そういう社会になってしまいました。

企業が借金をして投資をすることをやめると、生産設備の革新が遅れます。工場に対する新しい投資は、工場の設備を新しくするとか、機械化するとか、自動化するということです。投資をすると生産性が高まり、より高機能な製品がつくられます。人々が活発に購買行動に走ることで、ポジティブなサイクルが期待できます。

でもデフレ下においては生産設備を改善したり、新商品のR&Dをやるより、いまいる労働者のみなさんにとにかく、現状のまま頑張って働いてもらうほうがいいかなということになりがちです。結果的に人々の財布のヒモがより堅くなってデフレマインドが強まります。これがこの30年なわけですね。

経済成長を手放したら、日本人だけ物が買えない状況になる

日本の将来に閉塞感を感じるのは、デフレが今後も続いていくんじゃないかと多くの人が本能的に不安視している面もあるのではないでしょうか。

だから経済成長は絶対手放してはいけないし、特に他国が成長している場合には日本も成長を目指さないと、前述のように日本人だけ物が買えない、高額に感じられる状況が起きてしまいます。それから労働市場としての魅力が乏しくなり、外国人労働者がますます日本を選択しなくなるかもしれません。

閉塞感の原因は政治より経済にあるかもしれないんですね。

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