プーチンを説得できる「ある人物」とは

筆者は「ウクライナの中立化」と「両国軍の即時停戦」が今ロシアとウクライナが合意できる最低限の要件だと思う。日本外交がそこで底力を発揮できないか。今のプーチンには一見の客は通用しない。日本外交には安倍晋三元首相という切り札がある。岸田総理が腹をきめれば、今なら、日本外交は世界の平和のために必死の努力をすることができる。それは同盟の分裂ではなく、逆に同盟強化のための最大の努力ではないかと、筆者には思えるのだが。

最後にもう一つ、ウクライナ戦争後の日ロ関係について付言しておきたい。このまま事態が進行すれば、何も期待しうるものは残らないと思う。

今マスコミが伝えているように、日本外交がアメリカの政策のみを復唱し、最も厳しい制裁を実施してきたのであれば、56年日ソ共同宣言を基礎とする平和条約交渉はなくなり、ゴルバチョフとの交渉以来30年にわたって拡大強化してきたいわゆる「環境整備の輪」(昆布・墓参・ビザなし・四島周辺漁業協定・自由訪問等)もすべてなくなる。そのあとには、外務省条約局の鉄壁の法律論の下で、日本人だけが行くことのできない「北方四島」が再出現することになる。これについての議論は本稿では差し控えることとしたい。(2022年3月8日筆)

関連記事
【関連記事】「NATOに行くのは許さない」プーチン政権が異常なまでにウクライナに執着する悲しい理由
佐藤優「もしもアメリカがトランプ大統領のままなら、ロシアのウクライナ侵攻は起こらなかった」
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」
「取りやすいところから徹底的に取る」政府がたばこの次に増税を狙っている"ある嗜好品"
精神科医・和田秀樹「複雑性PTSDなんかではない」眞子さまの本当の病名は