「私はルガンスクでうまれた」
支持率が高いはずのプーチン大統領についてはこう語った。
「プーチンは18年くらい大統領をやっている。今年10月で、もう70歳。たぶん、死ぬまで誰にもやらせないつもりではないか。彼は筋トレをしていて体を鍛えています。顔はビューティにしていて、昔より若くなった印象。奥さんとは10年近く前、離婚しました。女性との噂はたくさんありますよ」
そんなプーチン大統領は独裁者とも呼ばれる。
「ロシア国内では、政治の反対集会もダメと言われる。『あなたは悪い、警察に行きましょう』と言われることがあります」
戦争の意味についてはこう解釈した。
「ウクライナ人とロシア人は仲良くしたい。ロシア軍がウクライナ国内のすべてのベースを爆破したら、話し合いになるのでは。昔からNATO(北大西洋条約機構)は、すごくロシアのことをいじめた。ウクライナはロシアに近いから、もしたくさんベースがあったら、モスクワを攻撃するようになるでしょう。ロシアはそれは嫌なんです」
EU(ヨーロッパ連合)は輸入天然ガスの約4割を、原油供給の約2割をロシアに依存しているとされる。経済制裁合戦は経済混乱をも招きそうだ。
「ロシアのサハリンには、ガスがあるし、いろんな天然資源があります。全部ストップすると、ロシアとウクライナだけじゃなくて、世界中で戦争が起こる可能性があります」
今回の戦争について、焦点となったエリア、ウクライナ東部のルガンスク州出身者はどのように見ているのだろうか。日本人との間に2人の子供のある40代のウクライナ人女性から話を聞くことができた。
開口一番、「心痛いですね」と言って、こう続けた。
「私はルガンスクで生まれて、18歳のころまでいました。ドンバス地域(ルガンスクとドネツク)は労働者の街なんです。工場で働いたり、石炭を採掘したりするとか。ウクライナの中にいてもまったく不自由はなかった。ソビエト連邦の時は、言葉はロシア語だったんですよ。それが紛争状態になったのは8年前から……」
前述のとおり、2014年にウクライナで親米政権が誕生し、ロシアによるクリミア併合があり、東部で親露武装勢力が活発になった。重武装化し、ウクライナ軍と激しい武力紛争に発展。15年に「ミンスク合意」で停戦に合意したものの、散発的に衝突を繰り返してきた。