子供、学校、教育のフューチャーセンター
――そのほかに、フューチャーセンターと関連する活動は何かありますか?
長尾:小学校の先生で、自分の家の中に、いろんな学校の先生達がみんなで集まれる場所を作っている人がいます。ここが、フューチャーセンター的になっているんです。どうしたらフューチャーセンターに、先生達が集まってくれるか?ということをこの先生と、いつも話しています。
中川:フューチャーセンターに来てもらえさえすれば、五感を使ったコミュニケーションの方法論をたくさん持っているので、なんとかなるとは思うんです。でも、ハードルは、まず「来てもらうこと」。今の段階は、先生方のところにこちらから足を運ぶことで、信頼関係を構築しているところです。小学校をまわって、先生の話を聴いて、一緒に考えています。
長尾:震災復興の活動を通して、Educational Future Centerの具体像が見えてきたと思います。いくつかのレイヤーがあると思うのですが、そのベースには、職員室がフューチャーセンターになることが必要だと考えています。今の職員室は、主に授業準備や雑用、教員や生徒との会話、資料保存の3つの活動のために作られている。先生同士が問題や知識を話し合ったり、そこに生徒が一緒に入って考えたり、という対話とイノベーションの場にはなっていません。
中川:そして、その上のレイヤーとして、公民館やコミュニティセンターのような場所に、核となるフューチャーセンター“Educational Future Center”があって、そこにいらした各学校の先生方が、そこで新しい教え方を学び、自分の学校の職員室に持ち帰る。そんな場を創ろうと、今構想しています。
長尾:フューチャーセンターとして、何かの「ゴールを達成するため」にしっかりと活動したいと思っています。これまでチームビルディングの講習などで、「成果よりもプロセスが大事」と言ってきましたが、成果があってはじめてプロセスの質について言及できる。よい対話をするだけでは、問題は解決していかないんです。それを震災復興でイヤと言うほど感じました。「プロセスと成果のどちらが大事か?」ではなく、「やり方(doing)もあり方(being)も、プロセスも成果も、両方大事なんです」。
中川:野村さんにお伺いしたかったのですが、やはりフューチャーセンターには専用空間が必須なのでしょうか?
――先ほどの石巻専修大学のケースが示唆に富んでいると思いますが、「そこに課題を持ち込めばなんとかなる」という場所があることに価値があります。専用空間ではなくても、例えば「公民館や図書館で、毎週土曜日はフューチャーセンター活動をしている」ということを市民が理解していれば、そこに人が自然に集まってきます。そのような状況を創ることが、「場を開く」ということだと考えています。たんに「一つの教育プロジェクトが公民館で活動している」というのとは、まったく違いますよね?