「教育に関わる市民の自発的な社会活動を支援・促進し、Well-Beingな(より良い)社会を形成すること」。これが、NPO法人Educational Future Centerの活動目的です。チームビルディングとファシリテーションの専門家で、子供のアウトドア教育、スポーツチームのチーム力強化、社会人の組織力強化などに長らく取り組んできた長尾彰氏代表と、中川綾同副代表に、フューチャーセンターの可能性について、お話を伺いました。長尾さんと中川さんは、震災直後、荻原直紀氏(当時富士ゼロックスKDI、現世界銀行)の呼びかけで「プロジェクト結(ゆい)コンソーシアム」という一般社団法人をともに立ち上げ、石巻市で「子供たち、教育、学校のフューチャーセンターづくり」を続けています。
石巻での復興支援とフューチャーセンター
――お久しぶりです。最近の活動は、いかがですか?
長尾:「プロジェクト結」で大忙しです。でも、この震災復興音活動が、驚くほど「フューチャーセンター」とつながっていると、日々感じていますよ。「作る」「試す」「イノベーションする」ための場所を作ることが、自分たちの仕事だと思っています。石巻でも、人が集いやすく、考えやすく、話が可視化できる空間、それを作ることをいつも考えています。
――現地には、そんな場所がまったくないんでしょうか?
中川:場所は、ところどころにはあるんです。例えば、石巻専修大学には、災害復旧のための場があります。
長尾:震災直後は、文脈の共有できる場所が、とても大事でした。石巻では、石巻専修大学に毎晩7時からボランティアリーダーが200人くらい一つの部屋に集まって、情報共有をしていました。いわば、ボランティアの族長会議のような感じだと思ってください。
中川:私たちは途中参加だったので、いわゆる「ボランティアコミュニティ」に認知してもらえるまでに時間がかかりました(笑)。やはり何度も通って、発言して、情報共有して、やっと、しっかり活動している団体だと理解してもらえたのだと思っています。
長尾:でも、この「全員が物理的に一堂に会す場所」があることが、本当に大きかったと思います。時間と場所が決まっているから、毎回行けなくても、行けるときにいつでも行ってみようということになります。実は偶然にも、震災直前の1月に石巻市と大学が、災害時に大学を市民が使えるようにするという協定を結んだ直後だったらしく、そのおかげで広い場所が使えたんです。今思えば、あそこにホワイトボード10枚、それからポストイットとか、壁新聞キットとか、ワークショップ道具があれば、違ったと思う。フューチャーセンターになったかもしれない。