報道番組のアナウンサーに学ぶ「仕切り術」

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第6位は、読者が選ぶビジネス書グランプリ2022でビジネス実務部門賞を受賞した『超ファシリテーション力』でした。

平石直之『超ファシリテーション力』(アスコム)

会議のファシリテーションが苦手な方には、本書を。著者はテレビ朝日アナウンサーの平石直之氏。報道番組「ABEMA Prime(通称:アベプラ)」の進行を務め、個性の強い出演者たちを巧みにまとめ上げるさまから“アベプラの猛獣使い”と称されています。

本書は、そんな“猛獣使い”がファシリテーションの極意を余すことなく記した一冊です。例えば、参加者の多い会議で最初の意見がなかなか出ないなら、その場にいない人の意見を紹介してみる。質問がうまく思いつかないなら、無理に質問しようとせず、「○○さん、どうぞ」「では○○さん」と名前を呼ぶだけにする。話しやすい雰囲気をつくるには、「おっしゃる通りですよね」などと発言に同調する、など。

“アベプラの猛獣使い”のメソッドは意外とシンプルで、今日から試せそうなものばかり。場をうまく仕切れず慌てたり落ち込んだりする前に、ぜひチェックしてみてください。

オンライン上の雑談で相手の心をつかむ方法

第11位の『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』にもご注目ください。

ひきたよしあき『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)

オンラインでの対話は、対面とは違う難しさがあります。特に挨拶の次に続ける一言に悩む方は多いのではないでしょうか。

そんな場面で、著者でスピーチライターのひきたよしあき氏は、このような言葉を続けます。

「マイクの音は大丈夫ですか?」
「そちらは寒いですか?」

頭を使わず、五感で反応できる何気ない質問をすることで、話し手と聞き手に一体感を生むことが狙いです。

また2回目、3回目の対話の中での雑談は「相変わらず○○ですか?」という質問が効果的だそう。○○には、相手が言いたくなるような「頑張っていること」や「関心事」を入れるのがコツです。

著者はまた、リモート会議における雑談術として、「開始前後の時間を活用すること」を挙げています。開始時刻の少し前に入室し、同じように早めに来ているメンバーと雑談することで、場が温まるでしょう。

本書には、オンライン・オフライン問わず使えるメソッドが満載です。相手の話にうまくうなずく方法や対話を盛り上げる方法、相手のやる気スイッチをONにする方法なども紹介されているので、「対話力」を上げたい方はぜひ手に取ってみてください。