フリーWi-Fi感覚で「フリー筋トレマシン」を探しがち
「駐屯地のトレーニング機材じゃ足りない!」という部隊は、訓練費や有志のカンパ等で最新式の筋トレマシンを購入して中隊の中央廊下あたりに置くこともあります。しかし、こうするとどこからともなく他部隊のますらおがやってきて、勝手に鼻息荒くデッドリフトしている場合があります。これは飼いネコのためにエサを準備したのに、知らない野良ネコがそのエサを食べていることと同じぐらい由々しき事態です。このような事態を防ぐために、「このウェイトマシンは他部隊の使用を禁ずる」等の注意書きが書かれている場合があります。
しかし、その隣にあるランニングマシンは業務隊のお金で買ったから誰でも使っていい、などと見えないテリトリーが発生していることもあります。そのため、筋トレ好きな隊員は、フリーWi-Fiを探す感覚で、使用できる「フリー筋トレマシン」を細かくチェックしがちです(マッチョの世界には特有の細かさがあるんですね)。
なお、重量トレーニングを行うとき、最後の1回で「ウワーーーー‼」や「うおおおお‼」と絶叫する人達がいます。この声出しは自らを追い込むために必要ですが、「うるさいからやめろ!」と怒られることが多いので、グラウンドの端っこに放置されたバーベルで「おおおお!!!」とやることになります。グラウンドの端っこのほうで聞こえる断末魔は、ますらお達の魂の叫びなのです。
勝手にトレーニングを始める「野良マッチョ」たち
また、例外的ですが、オリンピック選手を育成する「自衛隊体育学校」にはゴールドジムにもない最新の機材があるので、それを聞きつけた野良マッチョ達がどうにかしてそれらを使おうと試みることがあります。しかし、基本的にはオリンピック候補選手達が使用するためのものなので、野良トレーニングしていることがバレるとゴリラみたいな体育教官にたっぷり可愛がられてしまいます。マッチョの敵はマッチョですね。
陸上自衛隊には「マッチョ系のますらお」ばかりではなく、延々と走っている「ランナー系のますらお」もたくさんいます。彼らは「走ると脳内麻薬が出て気持ちが良い」ということに気づいたランニングジャンキーです。無駄な肉が削げ落ち、骨と筋しかないように見えますが、めちゃくちゃ体力があります。彼らは雨の日も雪の日も関係なく、いつも駐屯地を水族館のマグロのようにグルグルと走っています。中には、駐屯地内でハーフマラソンのタイムトライアルをしている強者もいます。
駐屯地内が真っ暗になっても彼らはストイックにグルグルと走り続け、暗闇から汗だくになってすごいスピードで現れます。そのため、夜の駐屯地でふいに彼らに出くわすと、野生動物に遭遇したときのような恐怖感を覚えることがあります。まったく怖い話ですね。