よくよく考えてみると、Yさんの行動はいつも「自分が得をしようと思ってやったことが、誰かの役に立つことにもなっている」というパターンでした。「自分の利益の追求」と「誰かが本当に必要としていることをやってあげること」が、Yさんの中ではまったく同じなのです。

実は脳には、「社会的報酬」が得られると、ドーパミンが大量に分泌されて快感を覚え、やる気が増大するという性質があります。

人間の脳は、金銭的な報酬と同じように、社会的報酬がある場合も快感を覚えます。社会的報酬というのは、誰かから「あなたは素晴らしい!」「君のおかげで助けられた!」などと、褒められたり感謝されたりすることを指します。

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一説によれば、性的な快楽よりも、社会的報酬による快感のほうがずっと上だともいわれています。人間が、名誉ややりがいを重要視し、時に金銭的報酬を省みずに行動してしまう傾向があるのは、脳がこのような性質を持つからです。

「いつまで経っても意欲的で、若々しい」というのは、ここに秘密があったのです。

つまり、やり方次第で、「いつまで経っても意欲的で、若々しい『脳』」でいられるのです。

「脳の若々しさ」を保つ行動原則

「ずっと若々しくいたいから、誰かのためになる大きな仕事をやろう」といっても、Yさんのような大事業ができる立場にある人は少ないと思います。

でも、「自分がやりたいことが、人のためになっている」、あるいは逆に、「人のためになることをやると、自分の利益となって跳ね返ってくる」と考えるのは大事です。

そういうことを見つけて、行動してみることは、それほど難しいことではないのではないでしょうか? どんなに小さなことだっていいのですから。

Yさんは、美味しいお店の情報にも敏感で、ガールフレンドを作って食べ歩いたり、飲み歩いたりするのも大好き。また、ファッションにも気を遣っていて、マフラーや帽子など気の利いた小物を取り入れるのが趣味のご様子。センスの良さもあり、いつも新鮮で、見ているほうも楽しいのです(ちょっと間違うと、イタリアンマフィアにも見えてしまいますが……)。

大きな仕事だけではなく、こんなささいなところにも、「自分がやりたいことをやって楽しむことが、誰かを楽しませることに通じる」という、Yさんの行動原理が貫かれています。

これまであまり、「自分のために何かをすることが、誰かのためにもなる」という発想のなかった方は、積極的にこういう視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?

いつまでも意欲的で若々しい脳を保つためには、自分が楽しむのと同時に誰かを楽しませて、脳が感じる快楽を何十倍にもすることが、非常に効果的なのです。