世界の5大強国入りを目指す与党候補

冒頭で触れたように、次期大統領選挙は、政権与党「共に民主党」の李在明候補と最大野党「国民の力党」の尹錫悦候補との一騎打ちになる公算が大きい。

李候補は22年1月11日、「新経済ビジョン(イジェノミクス)」を発表し、科学技術、産業、教育、国土の大転換を通じて世界の5大強国入りを目指すこと、デジタルトランスフォーメーション投資によって、200万人の雇用を創出することを宣言した。その一方、当初公約にしていたベーシックインカムの導入は、ポピュリズムとの批判を受けたこともあり、1月25日に、その対象を農漁村に限定すると表明した。

2月15日に選挙運動が正式にスタートし、中央選挙管理委員会から各候補者の10大公約が発表された(図表4)。

提供=向山英彦

韓国の若者は誰の経済政策を評価するか

李候補は公約の2番目に世界5強の達成、3番目に経済的基本権の保障(ベーシックインカム)を掲げた。これらを除くと、両候補の公約には新型コロナ対策、住宅供給、雇用創出、科学技術の振興、デジタル化、未来人材の育成など共通するものが多い。

しかし、公約を実現させる政策の進め方では基本的な違いがある。李候補が政府主導の投資によって成長を図り、雇用を増やすのに対して、尹候補は規制緩和や企業間のアライアンスを進めることにより民間投資を拡大する。

また、住宅政策では、供給主体(李候補が公共部門、尹候補は民間部門中心)や不動産税制(李候補が国土保有税の導入、尹候補が税負担の緩和)、再開発に向けた規制緩和(尹候補の方が積極的)などで異なる。また、尹候補は李候補よりも財政赤字の拡大への警戒感が強い。

今回の大統領選挙では、浮動票の多い20代、30代の投票行動が鍵を握る。この世代には、公正な社会を実現できなかった上の世代(進歩・保守の両方)への反発と社会の統制を強める中国に対する否定的感情があるといわれている。若い世代を含む有権者が、候補者の経済政策をどう評価し、誰に投票するのかが注目だ。

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