EQとはまた「人間力」といい換えてもよい。人間力を高めるとは、人間としての「器」を大きくしていくことでもある。
必死に努力を重ねることで、人としての器は大きくなっていく。それまでがたとえば一升枡であったなら、それを二升枡、三升枡に変えていく。それにはもちろんのこと、ある程度の時間がかかる。
そのためには、挫折をしたり、壁にぶち当たったりしながら、そこから学ぶことが必要だろう。たくさん本を読んで学ぶことも必要だろう。また多くの人に会うことも器を大きくすることにつながる。
自分よりも一回りも二回りも大きい、三升枡の人に会って、自分と何が違うのかじっくり観察し、考察することが大きな学びになる。
「手紙は自筆で書いたほうがいい」
一升枡のままでは一升しか入らない。より大きな仕事をするのであれば、その仕事の大きさに応じた自分の「器」をつくらなければならない。
器の中には、余裕もなくてはならない。「忙しい、忙しい」と口ぐせのようにいう人が多いが、余裕というものは、自らの工夫で創り出すものだ。その器の中に何を入れるかなのである。
仕事もする、ゴルフもする、毎晩飲み歩いてカラオケもするとなれば、あっというまに器がいっぱいになってしまう。仕事の器を大きくしようと思ったら、ムダなことはやめて、仕事に集中しなければ器を大きくすることはできない。
ただ、本当に大切なことはしっかりと行っていかなければならない。たとえば、手紙だ。
世の中では、超多忙な人ほど自筆で手紙を書く。贈り物をしたときに、ふつうは秘書に代筆させて印刷されたハガキが返ってくることが多いが、世の中で超多忙といわれている人ほど、すぐに自筆で御礼の手紙が返ってくる。
だから当社の役員には、何かお祝いをもらったときには、必ず自筆で御礼の手紙を書くようにいっている。そうしたことの積み重ねが、人間的な器を大きくすることにつながるのだ。