学校以外で学び、仕事に活かしている

また、小学校中学年から不登校になり、フリースクールに通っていた女性は、10代の頃、新宿でも一番混雑することで有名なファストフード店でバイトをしていました。

彼女は面接のとき、聞かれてもいないのに不登校の経歴を話したそうです。相手の方は急にそんな話をされて、面食らったでしょうが、元気のよさそうな子だからということで採用され、彼女はめきめきと仕事を覚えていきました。

彼女は、漢字や計算がところどころあやしかったようですが、仕事を覚え、その後、専門学校に進学しました。ファストフード店を辞めたあと、接客業に強い彼女は八百屋さんでバイトをしていました。それがきっかけで、今は八百屋さんの店長としてがんばっています。

その様子を見に行った人は、彼女の仕事ぶりに驚いたそうです。お客さんの顔を見ると、彼女はすぐに名前を呼び、「今日はかぼちゃが入ってるよ」「小松菜が安いよ」と声をかけていたといいます。彼女の中には相当数のお客さんの顔と名前、買ったものがインプットされていたんですね。

彼女とはよく飲みに行く仲ですが、ふだんはとにかく適当です。「この前、言っていたことと全然違うし!」なんてこともあるのですが、彼女が言うには、お客さんの名前と買ったものは、めったに忘れないのだそうです。

学校以外のところで学び、仕事に活かしている、とてもいい例だと思います。

写真=iStock.com/NanoStockk
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引きこもっていた女性は作業療法士に

私の知り合いに10年以上、引きこもっていた女性がいます。彼女も「助けになったのは、母との雑談だった」と言っていました。

引きこもっていた当時はお昼頃に起きて、母親と一緒にご飯を食べていたそうです。彼女は、食器がカピカピに乾くまで、と表現していましたけど、食器がカピカピに乾くまで長時間話をして、2人で後片付けをして、そのあとはお互いに自由な時間を過ごしていたそうです。

その頃の彼女は、学校へ行けなかったり、アルバイトができなかったり、常に不安を抱えていましたが、なんでもない雑談の時間に救われたのです。

私は彼女が引きこもっていたときからつきあいがありますが、当時から彼女は人の気持ちに気づける人でした。そして、不安を抱えているときに、人に支えてもらう大切さを認識した彼女は、作業療法士になりました。彼女が選んだのは、自分の体をうまく動かせないという不安を抱えている人に向き合う仕事だったのです。

派手な人生ではなくても幸せになっている

中学校から不登校になり、学校にはずっと行っていなかった女性がいました。理由を聞いたことはないのですが、彼女は「お嫁さんになりたい」と言っていました。

私と同世代で、「お嫁さんになりたい」と言うのは珍しいかもしれません。でも、「幸せな家庭を築きたい」という彼女の夢は、とてもいいなと私は思うんですね。