少額をコツコツ続けても1億は達成できない

最近、投資信託はごく少額でも買えるようになりました。以前は最低でも1万円だったものが、最近では1000円とか100円でも購入することができます。しかしながら、1000円でも100円でもできるというのは販売業者が心理的なハードルを下げるためにアピールしている謳い文句であって、本当にそんな金額で資産形成なんかできるわけがありません。仮に毎月1000円ずつ積み立てても年間1万2000円です。

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10年間で12万円、50年続けても60万円ですから住宅の頭金にすらなりません。あくまでもそういう単位で投資をするのは勉強のため、“経験”を積むためと割り切らないといけません。

実際、投資信託で資産形成しようと思った場合、最も大切なのは投入する金額です。仮に毎月1万円ずつ積立で投資をし、年利3%で運用できたとしても1億円を達成するには128年かかります。毎月5万円ずつ投入しても68年です。毎月10万円ずつつぎ込んでようやく1億円に達するのは46年後ですから、かなり気の長い話になります(いずれも現行の税率で計算)。事実、投資信託の積立で“億り人”になった人というのはそれほど多くはいませんが、それらの人に共通することは何と言っても投入額を増やしていったことに尽きます。

投資信託で億り人になりたいなら…

そもそも投資信託は多くの人が共同でお金を出し、ひとつのまとまった塊にして分散投資をおこなう仕組みのものですから、直接株式に投資する場合に比べればリスクは小さいと言っても良いでしょう。言うまでもなくリスクが小さいということは結果のブレ幅が小さいということですから、大きく上昇して高いリターンを得ることも難しいのは当然です。

したがって、本当に大きな資産を作ろうということであれば、毎月少額のお金をコツコツと投資信託で積立をするだけではまず実現することはできないでしょう。大切なことは支出を適正化しながら、投資に回すお金を増やしていき、可能な限り投下元本を増やして積立をするということです。

言うまでもありませんが、定年退職者のように「自分のお金の購買力を維持する」ことを投資の主目的にするのであれば、投資元本をやたら増やす必要はありません。自分がリスク許容できる範囲内で積み立てていけばいいでしょう。私も投資信託の積立をしていますが、年齢は69歳なので、それほど多くの金額は投入していません。でも投資信託を継続的に購入していくことで億り人になりたいのであれば、まず知っておくべきことは「支出を管理して毎月の投資可能資金を増やすこと」です。