「部下をどこまで見ているか」が評価の決め手になる

業績がいいときはもちろん、悪いときでも歯を食いしばって、従業員の生活を考えて面倒を見ていくことが必要なだけに、ただ、いいときには払えばいい、悪いときには払わなくてもいいというわけにはいかないのです。

人間は感情の動物ですから、従業員の気持ちがどういうふうに揺れ動いていくかということが分かり、読める。つまり経営者は、素晴らしい心理学者でなければなりません。しかし、それは難しい。

稲盛和夫述・稲盛ライブラリー編『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(PHP研究所)

ですから、人を評価するにはルールを決めておけばいちばん楽ですが、それよりも本当に心血を注いで従業員を見ていくことです。私は、部門別会議などをいっぱいやって、いろんな意見を言い合います。

また、それを離れて、今度はコンパをして一緒に飲み、従業員の言動を見聞きするなかで、「こいつはしっかりしているな」「こいつはチャランポランやな」「会議ではいっぱしのことを言うけれども、人間としてはダメだな」とか、そうしたことを全部見抜いていって、最終的な評価になっていくのです。

幹部社員にも、「こういうルールに従って部下を評価しなさい」ではなくて、「おまえは自分の部下をどこまで見ているか」と言っています。それが結局は、人を評価する決め手になると思うのです。

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