「住宅ローン減税が予定の金額で受けられなくなる」原因

また、住民税の特例分としての税額控除(算式の(3)部分)ですが、住民税所得割額の2割までとされています。多くの納税者にとって、住民税の大部分は所得割(前年の所得に応じて課税される税)が占めるので、住民税からの税額控除にも制限がかかっている、とおさえておくといいでしょう。

つまり、ふるさと納税が節税額につながるかどうかの上限額は、年収、配偶者や扶養親族といった扶養家族がいる、社会保険や国民健康保険を負担している、生命保険や地震保険に加入している、といったさまざまな状況により個別に相違するといえます。

さらには、「住宅ローン減税が予定の金額で受けられなくなった」という声もたまに耳にしますが、同じような理由です。つまり、ふるさと納税を活用し、所得控除が増えると課税所得が減少します。住宅ローン控除は通常、該当年の住宅ローン残高の1%を税額控除できるものですが、ふるさと納税を活用したあとの所得税額(課税所得がかかるもの)より住宅ローン残高の1%のほうが大きければ、住宅ローン残高の1%分を差し引ける所得税額がそもそも存在しないので「住宅ローン減税が予定の金額で受けられなくなった」ということにもつながるのです。

写真=iStock.com/Natali_Mis
※写真はイメージです

総務省のサイトで「全額控除されるふるさと納税額」を調べられる

こういった個々の状況に対応するため、総務省ホームページでは給与所得者の場合で、社会保険料控除額について給与収入の15%とし、独身あるいは共働き、配偶者に収入がない夫婦、共働き+高校生1人、共働き+大学生1人といったようにいくつかの類型を分け、全額控除されるふるさと納税額の目安の図表(総務省「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」)を掲載しているので、参考にしてみるといいでしょう。

ただし、この表の注意書きに「掲載している表は住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケース」とあります。したがって、このような事情がある方はさらにその分の所得控除や税額控除を考慮した上で、ふるさと納税の年間上限額を決められるといいでしょう。