「ワンストップ特例」の仕組み

3.ワンストップ特例は万能ではない?

ふるさと納税が導入された当初、節税メリットを受けるためには医療費控除と同じように確定申告する方法しかありませんでした。ところが2015年4月1日以降に行うふるさと納税からワンストップ特例の運用が開始され、「確定申告せずとも、節税メリットを受けることができる」ということでお手軽感が受け入れられています。ワンストップ特例の仕組みは以下の図表4で説明しましょう。

まず、最初にふるさと納税先の自治体にふるさと納税を行い、同時にワンストップ特例の申請書(「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」といいます)を提出します。その後、ふるさと納税先の自治体から住所地の自治体に控除に必要な情報が連絡され、ふるさと納税をした翌年度分の住民税が減額されるという仕組みです。

なお、同申請書を提出する場合にはマイナンバーを記入することになっていますので、マイナンバーカードがある場合にはマイナンバーカードを、それ以外の場合には

「個人番号の確認の書類」のコピー・・・個人番号カードや通知カードなど
「本人確認の書類」のコピー・・・
運転免許証や住民票の写しなど

のコピーを申請書と併せて提出することとなっていますので注意してください。

確定申告をする人は「ワンストップ特例」が利用できない

これらの書類を、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までにふるさと納税先の自治体に提出すれば、確定申告を行うことなく節税につながるので、便利な制度といえますが、いくつか留意していただきたい点があります。以下にとりまとめてみました。

・1年間のふるさと納税の申込先が5自治体以下であること

これは、ワンストップ特例を申請する場合は、ふるさと納税を申し込む自治体を5カ所以内にしなければならないというルールです。ふるさと納税を申し込む自治体が6カ所以上になるとワンストップ特例は活用できず、確定申告手続きを行うことになります。

・確定申告提出者は利用できない

ワンストップ特例を活用できる人はもともと確定申告をする必要のない給与所得者等です。したがって、個人事業主や家賃収入がある人などはワンストップ特例を活用できませんし、「医療費控除を受ける」あるいは「住宅ローン控除を受ける」といった理由で確定申告を提出する者もワンストップ特例を活用できません。

・ワンストップ特例を申請した自治体と、申請してない自治体が混在していない

なんらかの理由で確定申告を提出した者はワンストップ特例を活用できないと説明しましたが、ワンストップ特例を申請した自治体と申請してない自治体が混在する場合、すべてのふるさと納税について確定申告で手続きし直す必要があります。

たとえば、A、B、C、D、Eと5つの自治体にふるさと納税を行い、A、B、Cにはワンストップ特例を申請し、D、Eにはワンストップ特例の申請が間に合わなかったとします。このような場合、DとEのふるさと納税のみ確定申告を行えばいいというのではなく、A、B、C、D、Eに行ったすべてのふるさと納税について確定申告し直す必要があります。