マンションは老朽化が大問題になる
ここで、「金銭的に同じならば、何も残らない賃貸派より、最終的に家が残る購入派のほうが勝ちなのでは? 子どもに土地を残せるし」という声が聞こえてきそうですが、前述した通り、今後は空き家が増えていくので、マイホームを買うなら売れないことを覚悟して買いましょう。
売りたい人は増える一方ですが、買いたい人は減っていくのです。
それでも欲しい人は、住宅ローンを30〜35年借りている間に、夫の収入に変化はあるのか、妻は働けるのか、子どもの教育費はいくらかなど、住まい選びは「今」ではなく、将来を考えながら住まい選びをしてください。
特に、前述したようにマンションは、今後、老朽化が大きな問題になります。これから20年経って、約200万戸ある築30年のマンションが築50年になると、メンテナンスが十分できずに外壁が剥がれ落ちたり、ガス管が腐食してガス漏れがしたり、地震のときには崩れるかもしれません。
住むだけで命にかかわるようなマンションが日本にはこれから乱立していきます。子どもにしても古い家は必要とせず、「ここには住みたくない」といわれるのがオチです。「マイホームは資産にならない」と書いたのはそのような理由からです。
持ち家の呪縛から解き放たれよう
コロナ禍が長引き、働くスタイルも変化しています。都心で働く、都心に住むことにこだわらなくても、生活していける選択肢がたくさん出てきました。
現に若い世代は「ネットがあればどこにでも住める」と、不便な場所に苦痛を感じることなく、新たな生活スタイルを楽しんでいる人が増えています。
車を持たずカーシェアリングを使い、格安スマホにフットワークよく乗り換えるなど効率的に暮らし、自分の好きなものには惜しみなくお金をかけています。
そろそろ日本人はマイホームを持って一人前という呪縛から解き放たれてもよいと思います。
都心に暮らすことだけが便利で、使い勝手がよいわけではありません。
医療の発達や生活スタイルから人生が長くなったので、一所に留まるのはもったいない。もっと自由に移動して、人生を謳歌したほうがよいと思います。
働く世代でも、リモートで家賃の安い地方に住み続けることが可能になる時代です。
定年まで働くというスタイルもなくなりつつあります。だとすれば、収入やライフスタイルに合わせて気軽に引っ越しできる賃貸というのは、ますます注目されるのではないでしょうか。