マイホームは資産にならない
家の資産価値とは、将来、売りたいと思ったとき、「いくらになるか」と家を現金化するときの価値です。私は「これからのマイホームは資産になるのか、ならないのか」という質問をよく受けます。
私の答えは、「マイホームの多くは資産にならない」です。
家が余る時代がやってくるのはデータにも表れていますが、さらに怖いのがマンション。現在マンションは、全国に約700万戸ありますが、このうち約200万戸が築30年を超えています。
マンションは築30年を超えるとそろそろ建て替えを考えなくてはいけなくなると言われていますが、民間で建て替えできるマンションはほとんどないでしょう。
なぜなら、建て替えには新築と同じくらいお金がかかり、すでに入居している人たちは高齢化しているのでその負担に耐えられない人が多いからです。
ですから、築年数が古いマンションの資産価値は、どんどん落ちていく可能性があります。
では、お金の面で、家を買うのがいいのか賃貸がいいのかを比べてみましょう。
「家購入VS一生賃貸」は引き分け
よく住宅情報誌では「家購入VS一生賃貸」の特集をやっています。住宅を売りたい情報誌なのだから、家を買うほうが勝ちになるのは当たり前です。
本当にそうなのか、私もシミュレーションをしてみました。
計算の前提は、購入派は、35歳で3000万円の中古マンションを買うべく30年の住宅ローンを組み、65歳でローンを完済させ、そのマンションに80歳まで住むと仮定。一方、賃貸派は、家賃が月11万円の賃貸に80歳まで住むと仮定しました。
購入派は、月10万3536円の住宅ローンを30年間払い続けます。加えて家を維持していくために、固定資産税、管理費、修繕積立金、火災保険がかかり、合わせて月4万円は最低でもかかるでしょう。
ちなみに一戸建てなら管理費と修繕積立金は必要ないというのは間違いです。一戸建ては外壁や屋根が途中で持たなくなるので、むしろ修繕費はマンションより多めにとっておかなければなりません。計算をしてみたら、購入派の住居費は6187万円になりました。
ただし、このマンションが購入時に築20年の中古マンションだと仮定した場合、65歳のローン完済時は築50年、80歳では築65年になっています。
将来、老人施設に入る資金にするためにマンションを売ろうとしても、築65年、自身が45年も住んだマンションの資産価値は、よほど立地のよいところでない限りゼロと考えたほうがよいでしょう。
賃貸派は、シンプルに月11万円の家賃を80歳まで払い続ける計算をしてみると、住居費は6160万円になりました。賃貸ならより安価な家賃の物件に引っ越すということもできるので、選択肢が広がるでしょう。
一般的な例として、金銭的な面からいえば、家購入と一生賃貸の対決はほぼ変わりなく「引き分け」です。経済面だけで見ると、どちらが勝ちということはありませんでした。