孤立や社会的分断が犯罪を生む
仕事を失い、孤立を深めるなかで社会に対して大きな敵意を持っていたとか、失うものが何もない「無敵の人」の犯行であるとか、容疑者に対する分析はおそらく正しいだろう。孤立や社会的分断は、犯罪の大きなリスクファクターの1つであることは科学的に証明されていることだからだ。
メディアが容疑者の危険性や問題点ばかりを並べ立て連日報道することで、見えるものも見えなくなっている。
孤立や分断が犯罪のリスクであるのならば、何らかの社会的絆、温かい人間関係があることが、犯罪を防止する大きな力となる。
相次ぐ事件を受けて、防犯対策に関しては、新幹線の手荷物検査や駅構内の警備の強化、暴漢対策などが早速議論されている。しかし、それだけではなく、人々のつながりを取り戻すための施策もぜひ真剣に検討してほしい。