デジタルドルの影響はデジタル人民元よりはるかに大きい

すでに述べたように、デジタル人民元は発行間近だ。このため、主要国の中央銀行には、CBDCの国際標準を中国に握られかねないとの危機感がある。FRBのブレイナード理事は、「ある国でCBDCが発行され、それが国境を越えた決済に使われるようになると、世界中に大きな影響を与える可能性がある」と指摘した。

デジタルドルが使えるようになれば、企業の資金効率は大幅に改善する。個人の国際送金も速く、コストがより安くなる可能性がある。このため、少額で頻度の高い国際送金が増える。

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デジタル人民元の場合には、仮にそれが中国外で使えるようになったとしても、中国以外の国の人々にどれだけ受け入れられるかは疑問だ。それに対して、ドルであれば全く問題なく受け入れられるだろう。実際、現在国際取引のほとんどはドル建てで行なわれている。このため、デジタルドルは、非常に大きな国際的影響を与えることになる。

日本でも実証実験は始まっている

例えば、新興国でデジタルドルが容易に手に入るようになれば、自国通貨からデジタルドルへの大規模な資金の移動が起こり、その国の通貨システムが危殆に瀕するかもしれない。その影響があまりに大きいためにデジタルドルの発行には慎重にならざるをえない、という面もあるだろう。

日本も、こうした動きを座視しているわけではない。日本銀行は、2021年4月、CBDCの実証実験を始めた。2022年3月までに、基本機能の検証を行なう。その後、他の機能も加えた第二段階の検証を進めるとしている。

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