世界的にレアなスポーツカーに金が流れている

まず考えられるのは、全世界を襲ったリーマンショック不況からの脱却がある。各国の中央銀行はマネーサプライを急激に拡大させ、世界的なカネ余り現象が生じた。これによって、ユニークでレアなスポーツカーは、おしなべて高騰した。

私は12年前、598万円でフェラーリ328GTSを購入した。1年半乗って売却し一昨年再び同じモデルを購入したが、価格は1180万円と約2倍になっていた。

10年前に1500万円でランボルギーニ・カウンタック・アニバーサリーを購入し半年間だけ所有していた。昨年再び同じモデルを購入したところ、倍の3000万円に値上がりしていた。

よりレアなモデルは、さらに上昇幅が大きい。「走る不動産」と呼ばれ1311台しか生産されなかったフェラーリF40は、10年前の4000万円から、現在は1億5000万円前後になっているという。

ただ、国産スポーツカーは、これら海外車と比べるとそれほどレアではない。

例えば32GT-Rは、通算で約4万3000台も生産された。フェラーリF40の生産台数とは比較にならないほど多い。にもかかわらず、価格上昇率は同じくらい大きい。なぜか。

日産スカイラインGT-Rの認知度を上げた映画とゲーム

人気に火がついたのには大きく2つの理由がある。

ひとつは、映画「ワイルドスピード」シリーズの存在がある。その第1作(01年公開)は、アメリカで“ライスロケット”と呼ばれていた日本製スポーツカーが主役。第2作以降も、日本製スポーツカーへのリスペクトは続いている。

もうひとつは、プレイステーションのドライビングシミュレーターゲーム「グランツーリスモ」シリーズだ。97年に誕生したこのゲームは、現在もバージョンアップを続け、全世界で大ヒットしているが、日本製ゲームゆえ、第1作は日本製スポーツカーがラインアップの中心だった。スカイラインGT-Rはゲーム内で最強最速であり、実物を知らない全世界のファンに、その存在を知らしめた。

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90年代の現役当時、国内専用モデルだったスカイラインGT-Rはもちろんのこと、輸出されていたマツダRX-7やトヨタスープラといったスポーツカーも、海外では決してそれほどメジャーな存在ではなかった。

それが映画やゲームでクローズアップされ、そもそも希少であったことから奪い合いが始まった。