店舗で必ず見かけるセルフレジ不正

万引きを疑われていると気になるなら、余計な荷物を持ち込まずに、店内では必ずカゴを使い、不必要に周囲を気にすることなく買い回ることを推奨しておく。エコバッグや袋などの口は必ず閉めておき、電話や財布などの出し入れを控えるなど、手をバッグに入れる機会を減らすことも有効だろう。

こうした行動を店内で繰り返して不審者認定されてしまえば、顔認証登録されて店内における行動を監視されることにもなりかねない。気になる人は、日頃の振る舞いから注意すべきだろう。

犯行中の様子。両手首のレジ袋とエコバッグの持ち方を不審に思い行動を見守ると犯行に至った。昨今、高級果実を狙う高齢万引き犯は多い

普及が進むセルフレジにおける不正行為も頻発しており、設置店舗で勤務に入れば、必ず一度は目にする光景となった。悪知恵が働く被疑者の手口を紹介すれば、チェック後の精算を無視して逃走を図ったり、高価な商品に安価なバーコードを貼り付けるなど工作して精算する人まで存在する。

また、最初に通さなければならないはずの有料レジ袋をチェックすることなくセットし、そのまま持ち去っていく被疑者も多い。たった3~5円の話ではあるが、いままで無料で入手できたモノを買わなければならないとなると、どこか損をした気持ちになってしまうのだろう。少しでも節約して、自分だけは得をしたい気持ちは、万引き常習者の心理と同じだ。

レジ袋に5円を払うか、窃盗犯になるか

筆者自身、5円のレジ袋を盗んだ高齢女性に声をかけ、否認を続けられたため、やむなく警察に引き渡した経験がある。明確な映像証拠が見つかり、被害届が受理される状況にまでいくと、ようやくに未払いを認めて謝罪されたので、その時は警察による厳重注意で済ませた。至極当然のことであるが、どんなに安価なものであっても金を払わずに持ち去れば、窃盗罪は成立してしまうのだ。

レジ袋を買いたくないがために、店内カゴを私物化する客も増えた。見かねて注意すれば「客を泥棒扱いするのか」「明日もくるから」などと、至極勝手な理屈を述べて居直るのが特徴といえる。レジ袋有料化後、カゴの数が3割ほど減ってしまった事例もあり、その対応に苦慮している店は少なくない。

コロナウイルスを気にしているのか、備え付けのポリ袋を手袋代わりにして、一つひとつの商品をポリ袋に詰めていく人も頻繁に見かける。その上にエコバッグを被せてしまえば、あたかも精算後のような情景となるため、そのまま犯行に至る被疑者も多い。

全ての商品をポリ袋に詰め、さらに無料提供されるダンボールを被せることであたかも精算を済ませたように見せかけて商品を盗んだ70代男性

レジ袋代わりに使いたいとポリ袋を筒ごと持ち去る人や、店内の備品である消毒用アルコールやトイレットペーパーを盗む人まで散見され、そうした人を見かけるたび国内の治安情勢や民度の低下を実感して嫌気が差す。