不平等は特権を持つ人が是正すべき

「このゲームのような不公平な構造を変えていくには、特権を持つ側で気づいた人が行動する必要がある。教室の前方に座っている人は、前だけ見ていれば自分が優遇されていることに気づかない。でも、後ろを振り返って、自分が特権的な立場にいることを自覚した人は、もしも行動せずに特権に留まろうとするなら、この構造の再生産に加担したことになる」

この言葉にも全力で膝パーカッションだ。一番前の席で後ろを振り返ったことのない人には、弱い立場の人やマイノリティの存在が見えない。だから「本人の努力が足りない」「自己責任だ」と主張して、社会の構造を変えようとしない。

たとえば、東大生の親の半数以上が年収950万円以上だ。親の経済格差が教育格差につながって、努力したくてもできない環境にいる人、進学という選択肢すらない人もいる。塾や習い事をする余裕などなく、家計を支えるためにバイトする子どもたちもいる。日本は7人に1人の子どもが貧困状態にあり、先進国で最低レベルだ。こうした現実を見ずに自己責任とか言う奴は、グレッチで穴掘って埋めたろかと思う。

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偏見を持たず人を見る訓練が必要

また日本のように同質性の高い社会だと、マジョリティは自分がマジョリティだと思わずに暮らしているため、下駄を履いていることに気づきにくい。

友人の久山葉子さん著『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』によると、スウェーデンでは保育園から子どもたちに「性別、民族、宗教、セクシャリティ、障がい等にかかわらず、人間には全員同じ価値がある」と教えるそうだ。スウェーデンは様々なバックグラウンドをもつ人々が暮らす社会なので、幼い頃から人権教育を徹底して、目の前にいる相手を偏見のフィルターをかけずに見つめる訓練をするという。

「(娘の通う保育園では)男性同士のカップルと赤ちゃんの写真を見せて、先生が子どもたちに『これを見てどう思う?』と尋ね、意見を出し合っていた。子どもたちの無邪気な回答に、同性同士のカップルに対する偏見は一切感じられない」

ワイもスウェーデンに生まれたい人生だった。しかし寒がりなので、北欧の冬を乗り越えられるか不安だ。私が白夜に行き倒れていたら、フェルゼンや美童グランマニエみたいな貴公子が助けてくれるだろうか。