東京選挙区から見た「野党共闘路線」は維新が出てきてグダグダに

選挙報道でもありましたように、立憲民主党は自民党と共に大阪でのすべての小選挙区で議席を失いました。党副代表であった辻元清美さんや、リベラル勢力の象徴的な存在でもあった尾辻かな子さんら、立憲民主党の特徴を担う議員が比例復活も果たせず落選となった件については驚きを持って迎えられました。

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これを単に大阪での出来事と割り切ることができないのは、本来ならばもっと厚く支持を確保できなければならない都市部において特に、立憲民主党も共産党もしょっぱい戦いを強いられることになったからです。

例えば、東京12区では従前より公明党の太田昭宏さんと共産党の池内沙織さんとが激戦を繰り広げるものの、公明と共産という支持層の狭い両党の直接対決であったため、俗にいう「罰ゲーム選挙区」と目されてきました。

ところが、ここで公明党の太田さんが勇退、そこに新人の公明・岡本三成さんが立候補し、この新人への支持基盤の引き継ぎや有権者への浸透が問題となりました。新人岡本さんと国政への復帰を狙う共産池内さん、そこへ登場したのが維新・阿部司さんです。

実際、蓋を開けてみたら岡本三成さんも勝ちはしたのですが、地元北区ほかの無党派層への浸透は大きな課題で、今回の選挙では22%から27%のあいだしか岡本さんは得票できていません。ここが4割ぐらい取れるようにならないと盤石な岡本さんの選挙区になるとはいえないでしょう。

無党派票の多くが日本維新の会に奪われてしまった

この無党派層約4割弱の得票を野党共闘で一本化された共産党の池内沙織さんがガッツリ取れていれば、池内沙織さんは国政に返り咲いたはずです。ここで起きた二つの問題は「立憲民主党支持者の約25%が維新の阿部司さんに投票し、約10%強が岡本さんに投票した」「共産にとっては独り占めできるはずだった無党派票を半分以上阿部司さんに奪われた」ことが背景にあります。

結局、東京12区は公明党岡本三成さんが勝ち、次点はなんと維新阿部司さんで比例で復活当選をし、肝心の共産党池内沙織さんは3位で復活当選も果たせませんでした。

つまり、野党共闘で候補者を一本化し、自民党・現状の政治への批判票を立憲や共産候補に集めて自民党に勝つという作戦は、維新候補者という代替の選択先の出現によって分散してしまうのです。

それどころか、維新候補者も立候補した都市型選挙区においては、むしろ無党派票の獲得において立憲も共産も維新候補にすら競り負けて、得票下位に沈むという構造が多く見られました。

都市部の選挙区においては特に、野党共闘という看板を掲げながらも、共産党支持者は立憲民主党候補に83%から88%程度の投票を行う一方、立憲支持者は共産党候補に55%から61%程度の投票しか行っていません。

東京20区においては、共産党候補・宮本徹さんに投票した立憲民主党支持者は半分ほどでしかなく、さらに頼みの浮動票も4割強を維新候補・前田順一郎さんにさらわれ、結局自民党前職・木原誠二さんにダブルスコアで負けてしまうという都市型選挙のテンプレのようなことが発生するわけです。