イオンはキャッシュレス推進にも尽力

とはいえ、一連の買い物の流れを効率化して、無駄な時間なく商品選びから精算まで完了できる環境づくりは実店舗での体験をより快適化するために重要だという。その時に課題となるのが、キャッシュレス利用率の向上だと大瀧氏は話す。

イオンリテールでは、同社発行のクレジットカードや電子マネー「WAON」を使った支払い時のポイント付与を強化するなどしてキャッシュレス化を促進し、キャッシュレス利用率を6割にまで引き上げた。経済産業省によると、2020年の日本の個人消費に占めるキャッシュレス決済の割合は29.7%とのことなので、同社の6割という利用率はかなり高いといえるが、今後さらに強化していきたいという。

撮影=プレジデントオンライン編集部
セミセルフなど他のレジ形態も含め、キャッシュレス利用率が高いことが同社の特徴だ

「レジの形態の比率は、店舗の規模や顧客層によってもベストな構成が異なるので、“レジゴーを増やせば増やすほど効率が上がる”というわけではありません。しかし、キャッシュレスに関しては利用率に比例して効率も上がるので、今後も利用率向上に力を入れたいと考えています」(大瀧氏)

キャッシュレス化を進めるにあたっては、店舗側の事情で導入が困難となるケースも少なくないそうだ。同社のような大規模ショッピングセンターの場合は問題ないものの、キャッシュレスは売上の現金化までにタイムラグが生じるため、中小企業の場合は資金繰りの面で積極的でないことも多い。ECの手軽さ・便利さに慣れた利用客に「実店舗は不便」という印象をもたれることを避けるには、こうした課題をどのように解決するかも考えていかないといけないという。

「リアル店舗の強みを生かした買い物体験を」

レジゴーは2021年度中にグループ内100店舗の展開を予定しており、アプリ内決済の導入など利便性向上のための機能追加も検討中とのことだ。

「効率のよさ」では、実店舗はECにかなわない。実店舗だからこそ発生する「手間」を「体験」として提供するレジゴーの戦略は、実店舗が生き残っていくための新たな形のひとつといえるだろう。

大瀧氏に改めてレジゴーのミッションについて尋ねると、このような答えが返ってきた。

「レジゴーがめざしているのは、お客さまに買い物を楽しんで帰っていただくことです。実際に商品を手に取ることのできるリアル店舗の強みを生かした新しい買い物体験を提供していきたいと考えています」

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