ヒゲやタトゥー、編み込みも文化や風習に応じて

「お客さまからは好意的な声ばかり」と紹介したが、ここまで読んだ人は「本当なのか?」と思ったかもしれない。実は取材班もそう感じて何度も確認したが、今のところ反対の声はない、という。

デニム姿の戸澤さん。ボトムスの色はグレー、ネイビー、ブラウンにデニム素材が追加された(撮影=プレジデントオンライン編集部)

これ以外の規程に関しては「ヒゲはもともとOK」「タトゥーは見せるのはNG、隠れていれば自由」だという。タトゥーに関しては先住民族などの風習もある。髪型ではブレイズやコーンロウ(編み込み髪)もファッションで行う場合と、民族性によるものとがある。ダイバーシティを掲げるのは理想だが、現実には弾力的運用のようだ。

スターバックスの場合も「タトゥーについては、米国では数年前に『見せてもOK』になりました。文化や風習の違いもあり、マーケットごとに判断しています」(同社)という。

一連の取り組みにはリスペクトしつつ、一般のビジネスシーンでは違う意見もありそうだ。髪色自由が似合う職場は、例えばアート系のデザイン会社、アパレルやファッション関係、美容院、飲食業、ダンススクールなど、明るい髪色も個性になる業種・職種が多い。

以前「日本人の髪色」について調べたこともある。日本人全体に明るい色が流行したのは1990年代後半から2000年代前半にかけて。アムラーから始まる茶髪ブームも起き、明るく派手な髪色に染める社会人女性も目立った。それが近年は黒髪回帰になっている。

規制の少ない職場のほうが生産性は高い

服装に関しては、多くのビジネス現場でかなり自由になった。

その推進役は「クールビズ」だ。2005年に政府が地球温暖化対策の一環として「初夏から秋の軽装スタイル」を提唱して以来、年々各職場のドレスコードが緩和されていった。

どこまで許されるのか、2年前「クールビズの作法と各社の事情」を調べてビジネス記事にしたことがある。その時もかなりカジュアル化を感じたが、コロナ禍でより進んだ。

在宅勤務が一般化した現在だが、職場の規制を緩め、従業員が生き生きと働ける環境を整えるのも大切だろう。「部署の雰囲気が堅苦しい職場と自由闊達かったつな職場とでは、生産性が上がるのは間違いなく後者」という話も、以前に別の取材で聞いた。

東日本営業本部長の林さんは、こうも話す。

「会社が、自分らしくいられる居場所をつくりパートナーに寄り添うことで、パートナーの人たちもお客さまに一段と寄り添える。ゆくゆくは『ノーフィルターの世界』になるといいなと思います。今回の取り組みはその第一歩です」

「人は見た目が9割」ともいうが、昔に比べて「AだからBだろう」という固定概念も薄れてきた。先入観を横に置いて向き合うことも「ノーフィルター」になりそうだ。

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