「力量が未知数」の与党と「課題の多い」野党

10月19日付の朝日新聞の1本社説は冒頭部分でこう書く。

「自民党は『選挙の顔』を不人気の菅前首相から岸田首相に代えて臨むが、政権発足からまだ2週間で、その力量は未知数のままだ。一方の野党は、多くの選挙区で候補者を一本化したが、批判票の受け皿を超えて、政権を託せると認めてもらえるか、課題は多い」

「力量が未知数」の与党と「課題の多い」野党。日本の政治は岐路に立たされている。与党か、野党か。選んだ政権によって日本の進む方向が決まる。選挙の結果次第で、私たち国民の生活が大きく変わる。それゆえ10月31日までには必ず投票を済ませたい。

朝日社説は「試される野党の共闘」との小見出しを掲げ、「それなりに整理はされているが、政策の具体化にあたり、各党間の調整は円滑に進むのか、安定的な政権運営が本当に実現できるのか。有権者の不安を拭えるかは、この選挙戦で、どこまで説得力のある説明ができるかにかかっている」と指摘する。

野党の政権交代が実現した場合、立憲民主党の枝野氏は共産党や国民民主党などには「閣外からの協力」を求めるというが、問題はいまの立憲民主党に各野党をまとめる調整力があるかどうかである。前述したが、まだ立憲民主党にはその力はない。日本という国家が混乱するだけである。野党が政権を取るのは時期尚早である。

「小選挙区制」と「抵投票率」の問題点

朝日社説は「与党側にも、違いを埋める努力を求めたい政策がある」と書き、こう指摘する。

「例えば、核兵器禁止条約の締約国会議に対し、公明党はオブザーバー参加を主張するが、首相は消極的だ。選択的夫婦別姓の導入やLGBT理解増進法案についても、(10月18日の日本記者クラブでの党首討論会で)公明党の山口那津男代表が賛意を示したのに対し、首相は慎重姿勢を崩さなかった」

政権を握っていたい公明党がそのときどきでうまく立ち回っているから自民・公明の与党の枠組みが成り立っているのだ。これに比べ、野党は複数だ。それぞれ政治思想が異なり、利害も衝突する。だから厄介なのである。

得意の「アベ1強」への批判を繰り返した後、朝日社説は「小選挙区制」と「抵投票率」の問題点を挙げる。

「自公政権が過去3回、衆院選で大勝した背景として、1選挙区で1人しか当選できない小選挙区制の特性が指摘される」
「例えば、4年前の衆院選の小選挙区で、自民は議席数の75%を占めたが、得票率では48%と過半数に及ばなかった。ほぼすべての選挙区で候補者が一本化されていた自公側に対し、野党側が乱立し、政権批判票が割れた影響は小さくない」

「1人しか当選できない小選挙区制」をうまく使うことができれば、選挙に勝てる。だが、それでいいのだろうか。かつての大選挙区制に戻るべきか、それとも小選挙区制を続けるべきなのか。これからの大きな課題である。