「2%の利回り保証」外貨建て保険のセールストークに乗った52歳女性

——なるほど。そういえばさっきのトラブル事例にもいくつか挙がっていますが、最近は外貨建ての保険のトラブルが多いようですね。これって「貯蓄機能」型の保険も多いですよね。どうして外貨建ての保険がトラブルになりやすいのですか? 実際にトラブルになった人からの相談は多いのでしょうか?

【藤原FP】多いですよ。なぜなら外貨建ての保険に入っている人の数がとても多いからです。もっと言うと、正しく内容を理解していないにもかかわらず、「これはとてもよい商品だ」と信じ切っている人が多いからです。

トラブルで泣いている人がいる一方で、幸いなことに事前に相談いただいたのでトラブルを防ぐことができたケースもあります。事例を紹介しましょう。

写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです

【東京都文京区在住Aさん(52歳)のケース】

相談内容:「いま解約すると30万円も損するんですけど、どうしたらよいですか?」

独身キャリア女性のAさんは、米ドル建ての生命保険に3本加入しています。以下は、Aさんが藤原FPに相談にやってきて、やりとりした内容です。

【Aさん】ちょうど1年前に3本目を契約したのですが、その年払保険料が1万2000米ドル、日本円に直すと約132万円になります(1米ドル=110円)。毎年の保険料負担が大きいのですが支払うのは最初の5年間(計6万ドル)だけで、その後、私が65歳になるまで14年間おいておけば2%の確定した利回りで増えていくという話でした。ちょうど満期になった定期預金が600万円あったのでそれを崩しながら保険料に充てればいいかな、ということで契約しました。

【藤原FP】保険の販売員の売り文句を教えて下さい。

【Aさん】アメリカの金利は日本に比べて高く、この商品は「2%の利回りが保証」されているので日本の預金で置いておくよりも断然お得である、ということでした。

【藤原FP】では反対にデメリットは何と言っていましたか?

【Aさん】デメリットは、始めた最初の頃は解約すると元本割れするから注意するようにと。7年経過してやっと払込保険料と解約返戻金がトントンになるということでした。

【藤原FP】つまり、1万2000ドルを5年間支払って合計6万ドル投資する。契約して7年経過してトントンになるのでそこから2%の確定利回りで増えるのですね。最後65歳の時にいくら戻ってくるのですか?

【Aさん】資料によると約7万ドルです。つまり、7万ドル÷6万ドル=116.7%の返戻率ということで、これは預金においていてはできないことだし、2%の利回りも最後まで保証されているので安心だと思ったんです。

【藤原FP】いや、これは少しトリッキーだと思いませんか? 昨年満期になった定期預金600万円を51歳から65歳の14年間にわたり2%で複利運用したらいくらになるか分かりますか? 答えは約792万円です。返戻率は792万円÷600万円で132%になります。

【Aさん】あれ? 先ほどの116.7%よりもよい結果ですね。おかしいな、なぜなんだろう。