「過眠症=眠りすぎること」ではない

「不眠症」という言葉は皆さん耳にすることが多いかと思います。入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害等、「うまく眠ることができない」ことにより、日中に不調をきたしてしまう状態を指します。では、過眠症とはどんな状態でしょうか。「眠りすぎてしまう」ことを指していると想像する方が多いかもしれませんが、正しくは「夜間十分な睡眠をとっているはずなのに、日中に強い眠気が生じ、居眠りをしてしまうなど起きているのが困難になる状態」を指します。

十分な睡眠時間には個人差がありますが、7時間程度が目安となるでしょう。過眠症になると授業中や仕事中に関係なく眠りを我慢することができないため、仕事や自身の評価にも影響するほか、運転や危険な作業を伴う職業では大きな事故へとつながるリスクもあります。

冒頭でセロトニンは日照時間が短くなると不足しやすい、とお話ししました。これはセロトニンが日光を浴びることにより生成されるためです。一方「睡眠ホルモン」のメラトニンには日光を浴びることで抑制される性質があります。日照時間が短くなり日光が不足すると起床後にもメラトニンが残り続けてしまい、すっきりと起きられないだけではなく体内リズムを崩すことにもつながってしまうのです。

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「冬季うつ病」以外でも過眠の症状は出る

ちなみに、過眠は「冬季うつ病」だけでなく、その他の病気のサインである可能性があり、これらが疑われる場合には適切な診察や検査が必要になります。

ナルコプレシー

日中に突然強い眠気が出現し、突然眠ってしまうといった症状が特徴となる病気です。原因は、オレキシンという覚醒に関係する脳内物質を作り出す神経細胞が働かなくなることであるとされています。

代表的な症状として以下の4つがあります。しかし、必ずしも全ての症状が出現するわけではありません。

●睡眠発作
大切な会議や作業中など眠ってはいけない場面でも本人の意思とは関係なく眠ってしまう

●情動性脱力発作(カタキプレシー)
大笑いをする、びっくりするなど強い感情が引き金となって全身や体の一部の力が抜けてしまう

●睡眠麻痺
寝入りばなや目覚めた直後に金縛りが起こる

●入眠時幻覚
寝入りばなに出現する幻覚