家族に起こされても夕方起床になる男性の「病名」

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

眠っている間に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。ほとんどの場合で激しいいびきを伴います。気道が閉塞されることによって起こり、脳が危険を察知して睡眠が何度も中断してしまいます。睡眠時無呼吸症候群は不眠のイメージが強いかと思いますが、睡眠時間だけで言えばしっかりと確保できているのに、日中の眠気や疲労を感じる、といった過眠と同じような症状が出る場合もあります。睡眠時無呼吸症候群は酸素が足りない状態が続くことで高血圧、糖尿病、脳卒中や心筋梗塞等生活習慣病のリスクにもなります。

シーツと枕
写真=iStock.com/Wand_Prapan
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睡眠時無呼吸症候群が重症化すると、うつ病発症のリスクが2.6倍となることも分かっています(※1)

(※1)eppard PE, Szklo-Coxe M, Hla KM, et al: Longitudinal Association of Sleep-Related Breathing Disorder and Depression. Arch Intern Med 166 (16): 1709-1715, 2006.

働きざかりである30~60歳代の男性に多くみられ、肥満・下顎が小さいなど気道が狭くなる要因がある人が多いとされます。

実際に、私が産業医として管理しているある会社の従業員の方には、朝起きてこず家族に起こされても二度寝してしまい、気が付いたら夕方起床になってしまう、という方がいました。病院を受診し検査した結果、その方は睡眠時無呼吸症候群だったのです。

睡眠時間が10時間以上になると、死亡リスクは上がる

また、上記のような症状はなく日中問題なく過ごせているが、秋や冬は夜が長いのでつい眠りすぎてしまう、ということもあるかと思います。しかし、睡眠は長くとればよいというものではありません。睡眠時間と死亡リスクの関係については国内外で研究が行われ、睡眠時間は短くても長くても死亡のリスクと関連することが分かっています。

短い場合のリスクについて、過去に自治医科大が行った研究では、睡眠時間が6時間未満の健康な男性は、7~8時間の場合と比べて死亡率が2.5倍となりました(※2)

(※2)Yoko Amagai, Shizukiyo Ishikawa, Tadao Gotoh, Yuriko Doi, Kazunori Kayaba, Yosikazu Nakamura, Eiji Kajii: Sleep duration and mortality in Japan: the Jichi Medical School Cohort Study.J Epidemiol. 2004 Jul;14(4):124-8

また長い場合については、睡眠時間が7時間のグループと比べ、睡眠時間が10時間以上のグループで死亡リスクが男性では1.8倍、女性では1.7倍高い結果となりました(※3)

(※3)Thomas Svensson, Manami Inoue, Eiko Saito, Norie Sawada, Hiroyasu Iso, Tetsuya Mizoue, Atsushi Goto, Taiki Yamaji, Taichi Shimazu, Motoki Iwasaki, Shoichiro Tsugane: The Association Between Habitual Sleep Duration and Mortality According to Sex and Age: The Japan Public Health Center-based Prospective Study.J Epidemiol. 2021 Feb 5;31(2):109-18

睡眠時間は7時間を目安に、できる限り毎日同じリズムでとっていただくのが理想です。