それでは気が付いた場合にどうすればよいか? 初動として以下の3つが考えられます。

① なんの意図もないふうにみせかけて社長に聞く
② 先輩や上司にこの件について聞く
③ 労働基準監督署に相談してみる

実際に行動しようとすると①はかなりハードルが高く感じられるでしょう。会社がやっていることの良しあしは置いといて、社長との関係性が悪くなる可能性は一番高いと考えられます。中には、社員の切実な訴えにしっかりと耳を傾ける社長もいますし、単に知識がないだけかもしれません。ただ、先の発言を聞く限りその可能性は低いでしょう。①はブラック企業の経営者には有効とは言えません。

次に②ですが、これも説得されるか、あきらめろと言われる可能性が高いでしょう。過去に同じことをして退職に追い込まれたエピソードを聞かされるだけで終わってしまうこともあります。それどころか、相手によっては相談したこと自体が社長に伝わる可能性もあるのです。相談相手は慎重に選びましょう。

最後に③ですが、ブラック企業の経営者への対処としてはこちらが一番無難でしょう。ただ、労働基準監督署も暇ではありません。言えば何でも動いてくれるわけではありません。

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違法状態であれば労基署が動いてくれるが…

労働基準監督署は企業が労働基準法に違反している場合に是正勧告や指導を行います。つまり、違反している状態でないと取り扱ってはくれないのです。

先ほどの「うちの会社は有休なんて……」の例で行くと、まずは実際に有休の申請をし、その上で「休んだ日の給与を控除された」という場合に法令違反となり指導対象となりやすくなるのです。

まずは違法の状態にあることがポイントになります。そのほか「とても有休を申請できるような状況にない圧力をかけられた」といったようにすぐさま法令違反とは判断できないようなケースでも相談することは無駄にはならないでしょう。なぜなら、その手の会社は有休に限らず違反をしている可能性が高いからです。

労働基準監督署に相談し、会社に指導に入る場合、基本的には通報者の氏名は伏せた状態で調査を進めてくれます。しかし、社員数が少ない会社や、対象者が絞られるような相談内容ではいわゆる身バレをする可能性もゼロではありません。いざバレてしまうと居心地は悪くなるのは間違いないでしょう。ケースによっては退職前提で相談に行く覚悟が必要になります。