長時間労働の考え方は全員一緒ではない

ブラック企業の定義があやふやなので、その解釈は人によって異なります。

例えば「極端な長時間労働」とありますが、その具体的な時間は何時間なのかはわかりません。労働基準法では36協定を締結していれば1カ月に45時間までは時間外労働(いわゆる残業)をさせても問題ありません。さらに、特別条項があれば、条件によっては1カ月100時間未満までは残業可能なのです。

45時間の残業にアンダーライン
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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この36協定で締結した時間を超えて残業させるような場合は、それはもはやブラックうんぬんではなく法令違反となるわけです。ただし、これはあくまでも法令の問題であり、長時間労働と感じるかどうかはその人次第です。

もともと「残業なんか一切したくない」という人にとっては1カ月で10時間残業しただけでも「残業時間が長いブラック企業」という人もいれば、「前職では毎月60時間が当たり前だったので10時間はとても楽です」という人もいます。

この話はどちらが正しいという話ではなく、『その人にとってどちらの労働環境が向いているのか』という話になります。ですから、社会人歴の浅い方から相談をされると、いったんは私の感じる価値観をお話はしますが、納得できなければ、冒頭のようなアドバイスをすることになるわけです。

法令違反が当たり前の会社に入ってしまった時は

「うちは有休なんて病気や家族の看護以外とれないから」

スタッフを前にこんなことをごく当たり前に宣言する社長がいたそうです。アルバイトの学生や社会人経験の浅い人にとっては「へーそうなんだ」と疑うことすらしないことがあります。つまり、それが当たり前なので法令違反という認識がないのです。

ところが、その当たり前が当たり前ではないことに気が付く瞬間が訪れます。それは家族や友人に自分の当たり前を話したところ否定され疑問に思い始めることや、何気なくネットやYouTube等を見ていて気が付くケースも少なくないようです。