【イケダハヤト】創業者は僕の友人なのですが、彼は小さいときから環境の問題をなんとかしたいと思っていた。昔だったら環境問題をなんとかしたいと思ったら政治家になったり、環境関連の企業で30年働いて社長になるといったキャリアを築くしかなかったのでしょうが、いまだったらテクノロジーの力ですぐにでも解決できてしまうんです。
【ガーズマ】そうですね。こういう感覚を持っている人がイノベーションをリードし、自分たちの価値観に合う商品をつくり、経済の仕組みを変えていくのだと思いますよ。大企業でもこうした価値観に気づいているところは思った以上に増えてます。自分たちの得意分野をいかして社会的問題を解決する取り組みをしています。たとえばマイクロソフトには「エレベート・アメリカ」というプログラムがあって、失業した人にITスキルの再トレーニングを提供しています。200万人の人がこのプログラムに参加しました。自分の本業における得意分野を、他者を助けることにおいて生かす。会社によって差はありますが、自分たちが社会においてより大きな役割を果たさなくてはいけないと気付いている会社は思った以上に増えています。究極的には、よい人材を集めるのも、顧客のブランドロイヤリティを得るのも、そうした役割を果たしてこそだからです。「どうやって得るか」を考えるより、「どうやって与えるか」を考えることを通して、イノベーションが生まれるのだと思います。