日本は40年間で世界断トツのビリ成長

日本はこの40年間で世界ダントツのビリ成長だ。最新の確定値である2020年の国内総生産(GDP)が40年前(1980年)、30年前(1990年)と比べてどのくらい伸びたかみてみよう。図表1は自国通貨建ての名目GDPだ。

【図表1】名目GDP(自国通貨建て)の伸び

ご覧のように、他国がグイグイぐいぐいと成長しているのに日本は全くと言っていいほど成長していない。

GDPが大きくなるか否かは、国にとっても国民にとっても極めて重要だ。大雑把に言えば、GDPが2倍になれば国民は2倍豊かになり、政府も収入(税収)が2倍に増える。日本ではGDPが拡大しなかったのだから、賃金が上がらなかったのもあたり前だ。

経済協力開発機構(OECD)によると、過去20年間で米国の名目平均年収は約8割、ドイツやフランスは約5割増えたのに、日本は逆に5%減少している(9月9日付日経新聞)。

GDPが増えなければ税収が増えるわけがない。財務省の「一般会計税収の推移」によると、2018年度の税収額60.4兆円)を記録するまでは1990年度の60.1兆円が1位だった(ただしこの時の消費税率は3%)。約30年間で税収はちっとも増えていない。税収は増えなかったのに歳出は社会保険料を中心に、どんどん増えていったのだから、巨額借金がたまったのも当然だ。

年金も、成長の果実を含めて高齢者に支給する計画なのに、ちっとも果実が実らないのだから、財源不足となり、持続可能性が問題になってきたのだ。

あっと言う間に中国に追い抜かされた

世界第2位だった日本のGDPが、中国に抜かれたと大騒ぎをしたのは2010年だった。中国のGDPは、1980年には日本の約4分の1だった。日本が足踏みしている間に追い抜かれてしまった。それから10年後の現在、中国は日本の約3倍にまで急成長している。情けない限りだ。

1980年に約150円だった人民元は今や17円ほどだ。これでは海外旅行など高くて行けないはずだが、コロナ前には中国人旅行客が日本にあふれていた。この40年で通貨が10分の1ほどになっても、GDPが233.8倍になっているので中国人の多くが豊かな生活を送れているのだ。

企業も成長しなかった

国が成長していなかったのだから、その国に基盤を置く企業も発展できるわけがないし、株価も上がるわけがない。

今、日本では日経平均が31年ぶりの高値と騒いでいるが、1989年末の史上最高値3万8915円の78%(9月27日時点)まで回復したにすぎない。一方、1989年末同日のNYダウは2753ドルだから、現在は約12倍にもなっている。

人が生きていくには「働くか、お金に働いてもらう」しか術がないのだから、労賃が上がらない上に、株価も上昇しない、低迷経済で金利も低いままであれば、国民が豊かになれるはずがない。