地方出身者と高学歴の志望者が目立つ

習近平政権になってから党員が増えたことは前述したとおりだ。しかも35歳以下の党員は2367万人と全体の約4分の1を占める。職業的には、工場労働者(648万人)や第一次産業の従事者(2581万人)が全体の約33%を占める。冒頭に登場した郭さんは「入党に目を輝かせるのは沿海部ではなく地方の出身者が多い」と語る。毛沢東の革命が農村で起こったことと無関係ではないようだ。

また、近年は高学歴化もひとつの特徴となっており、専門学校・大学卒以上の学歴を持つ党員は4951万人と52%を占めている(数字は共産党党内統計公報)。

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2010年代も半ばを過ぎると、大学内部にも党の支部が配置され、学部ごと、また学年ごと、あるいは学生寮や社区(住宅棟を管理する地域コミュニティー)などにも、党の組織がつくられるようになった。“政治思想工作”に携わる専門人材までも配置し、「その数は教師と学生の数の1%以上としなければならない」などとする規定もできた。隅々にまで中国共産党の血流を行き渡らせ、末端の基盤を確固たるものにしたいと願う中国共産党の眼は、若者とその教育に向けられている。

「マルクス主義」の授業から“習近平思想”へ

今年7月21日、国家教材委員会は「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の教材指南」(以下、教材指南)を発表し、学校の教科書でも“習近平思想”を教える方針を示した。その後、9月1日から全国の小学校~大学において、「思想教育」が教育課程として導入された。

既報の通り、習近平国家主席の思想である「愛国心」や「強国の志」などを学ぶ授業であり、教材指南には「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想とは、中国のマルクス主義・21世紀のマルクス主義であり、それが中華民族復興を実現する」と書かれている。

もっとも大学教育を中心に、中国では以前から「マルクス主義」の授業があった。だが、四川省出身で上海の大学院を卒業した朱さん(仮名・30代)は「授業そのものに熱を入れる学生などほとんどいなかった」と10年前を振り返る。

「いまさらマルクス主義を学んで何になる、という空気が強く、学生たちのほとんどが授業時間を他の先生や教授から出された宿題をこなす時間に充てていました」(同)

改革開放路線の発展とともに、中国社会では「社会主義教育」「マルクス主義教育」は形骸化した。かつては入党も簡単だったように、中国共産党の上層部から末端の党員まで「共産党の信念」を持った人物などはほんの一握りだった。