北朝鮮は「挑発の不毛さ」を認識すべき
9月14日付の朝日新聞の社説は冒頭部分から「北朝鮮は、際限のない軍備強化と挑発の不毛さを認識すべきだ。自らの経済苦境を脱するためにも、米国のバイデン政権との対話に応じるべきである」と主張する。見出しも「北朝鮮の挑発 対米対話しか道はない」である。
挑発行為は不毛だ。アメリカも9.11テロの報復としてアフガニスタンやイラクに出兵し、20年戦い抜いたが、撤退に追い込まれた。その結果、多くの兵士が犠牲になった。戦争ほど不毛なものはない。
朝日社説は「だが(日米韓に反発する)一方で、最近の北朝鮮からは、米国との関係悪化は望まず、条件次第では対話を始めたいとの発信も垣間見える」と書いたうえで、こう指摘する。
「米朝対話は、トランプ前大統領によるハノイでの首脳会談以来、2年間滞っている」
「バイデン政権は、問題の一括合意を求めた前政権と異なり、北朝鮮の段階的な非核化をめざす『現実的なアプローチ』を掲げる。その上で対話の再開を求めているが、回答はない」
コロナ感染の恐怖もあるのではないか
好んで露骨なディール(取引)もするトランプ前大統領とは違い、バイデン大統領には石橋をたたいて渡る慎重さがある。北朝鮮の金正恩氏はそんなバイデン氏がどう出てくるか、探っているのだ。
朝日社説は主張する。
「北朝鮮の外交が止まって見える背景には、米国への警戒感のほか、コロナ感染の恐怖もあるのでは、といった見方がある。理由が何であれ、北朝鮮を対話の舞台に誘い出す努力を周辺国は惜しむべきではない」
その通りである。北朝鮮を対話の舞台に誘い出すことこそが、朝鮮半島の非核化に結び付く。