母親の教育歴が高いと影響は小さくなる

確かにここでは、「コロナ禍(2020年)から、スコアが下がっていて、2021年になってさらに下がっている」ことが示されています。

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さらにこの論文では、コロナ直前に生まれた39名の発達状態を18カ月間観察しているのですが、その子たちには低下が見られていません。

そのため彼らは、コロナ禍に生まれたことが、テストのスコア(発達状態)に影響していると主張しています。さらに、男児の方が女児よりこの影響を強く受けていること、この影響は、母親の教育歴が高いほど少ないことを示しています。

(注:この論文は、プレプリントといわれ、その他の研究者による査読を受ける前に世の中に公表されたもので、現時点では妥当性が担保されていません。今後審査を受けて修正などののち正式に査読付き雑誌掲載論文として公表される予定)

経済状況が悪いほど、コロナの影響を強く受ける

確かにコロナ禍から、発達状態を示すスコアが下がっていますが、ここで気をつけなければいけないのが、スコアのばらつきもとても大きくなっていることです。このテストでは、通常ばらつきを示す標準偏差は15程度とされているのですが、2021年には、±21.6まで大きくなっています。つまり、このスコアの低下ぶりには、個人差が大きいということです。

この個人差を生む要因はなんでしょうか?

その原因の一つに、「経済状況」があります。つまり、もともとの経済状況が悪いほど、コロナの影響を受けやすく、さらにそれが子どもの発達などに影響している、ということです。

実際、多くの研究が、健康面および経済面両方でコロナの影響をより受けたのは、貧困層および、教育歴が低い人たち(大人)であると結論づけています。そして、コロナによる影響を経済的にも心身の健康にも受けた大人を通じて、その子どもたちにも影響が出ていると考えられています。海外からの報告では、経済状況の悪い家庭の児童・青年の方が、メンタルヘルスの低下、成績の低下、学校教育からのドロップアウト率といったものが高くなっていることが示されています。