相性予測システムのほとんどは科学的妥当性がない
夫婦やカップルなど形は色々ですが、パートナーの存在は、個人の状態に大きな影響を及ぼします。最近の研究から、相性の良さは脳から予測できることが明らかになっています。また、パートナーと安定した関係を築くために必要なホルモンやその出し方、裏切り(不倫や浮気)が生まれる要因は何かなどについて、科学的に検証されていることはたくさんあります。
相性の良いパートナーを見つけることは人生で最も重要なのに、最も難しいことの一つです。最近のマッチング業界では、利用者の自己申告による心理テスト結果や、場合によっては遺伝子情報から相性予測システムを提供しているサービスもあります。ところが、それらのシステムに科学的妥当性はないことがほとんどで、実際に100以上の自己報告データを用いても異性間の相性を予測することはできないことを、心理学研究が示していました。
脳の状態から相性を予測する実験
一方で最近、脳の状態から相性が予測できることがわかりました。この実験では、まず、脳の機能の状態(ぼーっとしているときに脳のどことどこの場所が同じように活動しているかという脳の機能連結の状態)をMRIで撮像します。その後、集団お見合いのように、3分間ずつ異性と会話をしていき、全員と話し終えた後、もう一度話したいと思う異性を選んでもらいました。その結果、もう一度話したいと思うかどうかは、異性と会話をする前の脳の機能的結合のプロファイルがどのくらい似ていたか、という情報から予測することができたのです。
つまり、会う前の脳の状態を見れば、好みかどうかを事前に知ることができるという衝撃的な結果です。脳のMRI検査が気軽にできるようになれば、自分の「脳パスポート」として持って、相手を探せる時代が来るかもしれません。ただし、脳は可塑性を持ち、大人になってからも機能や構造が変化します。そのため、好みや相性が変わることには注意が必要です。