男性はテストステロンが下がると育児にコミットする

男性の主なホルモンに、性衝動にも関わるホルモン、テストステロンがあります。624人の独身男性をターゲットに、その後の結婚などまで長期的に調査をした研究があります。その結果、独身の時に計測した初期のテストステロンレベルが高いほど、将来父親になる可能性が高いことがわかりました。面白いのは、一度父親になると、彼らのテストステロンは大幅に減少し、4年間で30%減少したのです。

これは、同年代の子供のいない男性に比べて、2倍以上の減少で、新生児のいる男性の場合は特に減少が顕著でした。そして、子供の世話を1日に3時間以上している男性は、育児に関与しない男性よりテストステロンが20%少ないことも示されています。つまり、産後の赤ちゃんの世話をする最も大変な時、男性のテストステロンが減少していることが、育児へのコミットをあげる重要な要素だということです。

「子孫を多く残すためではない」不倫の真の原因

不義理な男性がよく、「男性は生物学的に子孫を多く残したい本能がある」と言っているのを聞きますが、これは、実は理にかなっていません。確かに、生物学上、どれだけ子供を残せるかは、勝ち組かどうかを決める大きな要因です。ただしこれは、子供が成長するスピードが早く、養育期間が短いからこそ合理的に成立する話です。人の場合は、不倫によって遺伝子をあちこちにばらまくより、特定のパートナーに寄り添ったほうが、遺伝子をきちんと残せる確率が圧倒的に高いわけです。なぜなら、人は、成人まで18~20年必要で、家を空けてフラフラあちこちで子どもをつくっていたら、結局、生活費や養育費が枯渇し、パートナーも取られる可能性が上がります。

ただ、動物実験から、そのような不義理をはたらいてしまう原因が見つかっています。それは、ヴァソプレッシンというのは脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種の受容体量です。これは、性行為などによって脳に多く分泌されます。一夫一妻をとるプレーリーハタネズミは、ヴァソプレッシン受容体量が多く、パートナーとの愛着を形成する一方、ヴァソプレッシン受容体量が少ないタイプのサンガクハタネズミは、メスへの愛着が少なく、次々と浮気するのです。面白いことに、一夫多妻のサンガクハタネズミのヴァソプレッシン受容体の量を増やせば一夫一妻になる(一人の相手だけにコミットする)のです。また、この受容体量は、浮気だけでなく、空間的な記憶力にも関係していることが示され、浮気してしまう人は、自分のいるべきテリトリー、入ってはいけないテリトリーがわからなくなってしまっているのかもしれません。