遺伝子レベルでの相性

遺伝子レベルで男女の相性が決まるという話はよく知られています。今やとても有名な実験に、スイス・ベルン大学のTシャツの実験があります。この実験では、男子学生に2晩、同じTシャツを着て寝かせ、翌日女子学生にそのTシャツの匂いをかがせます。そして、好き嫌いを採点してもらうのですが、HLAという遺伝子の型が似ていれば似ているほど、相手への採点が低くなりました。

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写真=iStock.com/Doucefleur
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逆に、型が遠いほど、高感度が高かったのです。HLAとは、多くの細胞と体液に分布し、自己と非自己の識別をする重要な免疫機構として働いているものです。HLAが免疫にかかわる遺伝子なので、遺伝子は多様であるほど感染症などに対して強くなるといったメリットがあります。そのため、無意識的に、自分とは異なるタイプの遺伝子を好むものとされています。

日本の女性が不倫をする理由

パートナーとの関係性を維持するのに、最も重要なことの一つがコミットメントです。この場合のコミットメントとは、その関係性に対する投資量です。関係性の充足感や投資量が高く、投資対象外の選択肢(つまりパートナーとの関係性以外の物事)の価値が低い場合、投資対象に対して強いコミットメントをもっている状態、ということが言えます。

具体的には、会話頻度、育児や家事頻度、セックス頻度などから、パートナーとの関係やパートナーとの時間に対する満足度や投資量が高ければ、関係性は安定し、浮気、不倫も減る、ということがわかっています。ところが、これは海外の研究成果であって、日本で同じことを調査するとこの関係性(夫婦間のコミットと不倫率や満足度の関連)が再現されません。これについては、日本人女性には「諦め」が機能するからという悲しい考察がされています。

日本の夫婦は、パートナーとの関係から得られる満足感と、結婚の機能的な側面(必要性のようなもの)を切り離している。つまり、結婚の経済的必要性や、心理的必要性(結婚しているというステータスへの固執)、離婚や再婚の“面倒くささ”が、結婚を維持しようとする態度につながるという考え方です。これは海外の知見では見られません。

そのため、日本ではパートナーのコミットの低さがダイレクトに不倫率の高さに影響しません。おそらく日本人男性ほどコミットが低いと、海外ではもっと不倫されてもおかしくないはずなのです。

それでも不倫をする日本人女性は一定数存在します。自己申告をしているだけでも40代女性の15%程度が不倫をしているという調査結果があります(日本老年行動科学会が2011年1月から12年12月にかけて関東圏在住の40歳から79歳までの男404人、女452人に調査)。日本特有の夫婦関係のあり方を背景に結婚は維持しつつも、育児がある程度ひと段落した段階で、より優秀な遺伝子を残したいという本能があるからだという考察がされています。