日本メーカーは今こそ需要獲得のチャンスだ
LG化学のライバル企業のビジネスチャンスは拡大している。特に、わが国のバッテリーメーカーの提供する車載バッテリーに関しては、今のところ深刻な発火問題が起きていない。本邦のバッテリーメーカーに期待したいのは、LG化学のバッテリー製造技術への不安が高まる状況を活かして、米国など世界のバッテリー需要の獲得に動くことだ。そのためには、個社独自の取り組みに加えて、政府の役割も求められる。
米バイデン政権は、自動車の電動化や脱炭素への対応のために、国内のバッテリー工場建設を支援する考えを強めているようだ。今後、バッテリー生産強化のためにバイデン政権は直接投資を同盟国に求める可能性が高い。そのチャンスをわが国が確実に手に入れるためには、政府がわが国のバッテリー製造技術の優位性を米国政府や産業界に明確に伝えることが不可欠だ。
長めの目線で考えると、それができるか否かによって、わが国経済の成長期待と、国際世論におけるわが国の発言力にはかなりの差が出るだろう。