同時に、鉄というのはウイルスや病原性バクテリアが栄養素としている。だから、ウイルス性のインフルエンザにかかったときに鉄剤などを飲んでしまうと、ウイルスが大変な増え方をしてしまう。それも知らずに安易に鉄をサプリメントで摂ってしまうと、大変困ったことになる。

私たちが感染性の病気にかかると、たいてい高熱を出す。なぜ熱が出るかというと、身体が自分自身を助けるためだ。鉄を栄養分として生き残り、増殖していくウイルスが、高熱になると鉄分を摂り込むことができなくなる。身体は、熱を高くすることで、ウイルスがそれ以上繁殖しないように、鉄分を与えないようにしているのだ。そのときに解熱をしてしまうと、鉄がどんどんウイルスに摂り込まれて栄養になってしまう。

豆類や野菜からでも十分に摂取できる

もし風邪がウイルス性のものならば、そういうときには鉄分を余分に摂らない方がいい。つまり、鉄分を多く含む肉や魚など動物性の食品を大量に摂ったりするのは逆効果。むしろ熱を高くしてウイルスの働きを断ち切ってしまう方が感染性の病気の治りは早い。

昔から、風邪をひいて熱が出ると、ご飯を食べずに寝ていなさいと言われたものだ。回復し始めると、擦ったりんごなどの果物が与えられた。消化器が空っぽになっているので、一番栄養分があって消化が容易な果物から食べさせてきたわけだ。これも昔の人の智恵なのだ。

南清貴『40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの』(KADOKAWA)

風邪をひいたらむしろチャンス。栄養のあるものは食べずに絶食するぐらいのつもりで、いくところまで熱が高くなると、そのあと、スーッと下がる。それから果物をきちんと少量ずつ食べることで身体はきれいに回復していく。

鉄分を補いたいなら、サプリメントなんかに頼らず、精製しない米や豆類から摂取するようにした方がよい。きちんと栽培された野菜やドライフルーツなどからも十分に摂れる。

日本にも何人か優秀なサプリメントアドバイザーがいて、そういう人たちは、どのサプリメントを何mg、あるいは何μg、どのくらいの期間摂れば摂取する人の身体によい作用があるかというのを計ることができる。

そういう大変な知識量の専門家の指導のもとにサプリメントを摂るのなら、例外的に賛成だ。野菜不足だから適当に補っておこう、などと素人判断でサプリメントを摂るのが一番いけない。

だから、私はコンビニでサプリメントを売るというのはいかがなものかと思っている。

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