それよりもむしろ、私たちがこれから考えなくてはならないのは、食事全体のあり方と食糧生産の方法だ。それを考えずに、あれが足りないから補った、これが足りないから補ったというのでは、どこまで行ってもいたちごっこになってしまう。

それは結局、私たちの身体に化学物質の過剰摂取をさせてしまうだけだ。

「栄養があるから多くとっても平気」の危険

どのような物質であれ、人間の身体にとって過剰摂取は大変な害になる。それはそもそも、人類史上で食物が不足することは多々あれ、過剰に摂取できることなどなかったからだ。どんなものでも、過剰に入ってきたものに対して人間の身体は対応できるようになってはいない。だから、なるべく過剰に摂るようなことはしない方がいい。

サプリメントで一番危険なのが、過剰摂取だ。よく、水溶性のビタミンは尿として排泄されるから過剰に摂っても大丈夫などと言う人がいるが、そんなことはあり得ない。

尿にするまでだって身体には大変な負担なのだ。特に、ミネラル系のサプリメントの過剰摂取は、身体に多大なダメージを与えるということを知っておいてほしい。

例えば、セロリやレタスに多く含まれるセレンという重要なミネラルがある。これは体内で抗癌効果を発揮してくれる物質だ。ところが、摂り過ぎると逆に癌を助長してしまう。適量では抗癌物質としての作用があるが、多過ぎると発癌物質になってしまうのだ。

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亜鉛も、適量摂っていないと私たちは死んでしまう。絶対的に必要なミネラルだ。不足すれば傷の修復もできないし、男性だと前立腺、女性だと生殖器系の問題を抱えたりもする。しかし、これも摂り過ぎるとうつ病の傾向が出てくるなど大変な害がある。つまり、亜鉛は不足してもうつ的傾向となるのだが、過剰に摂取した場合も同じようにうつ的傾向が見られるのだ。

鉄分サプリメントを摂り過ぎるとどうなるか

鉄分も影響力が大きい。安易に鉄剤を摂取して一定の領域を超えてしまうと、やはり癌のリスクが高まることがわかっている。

鉄分は、体内で活性酸素を作り出すプロセスに関与しているのではないかと言われているからだ。鉄が活性酸素を作りやすくしてしまうのだ。作られた活性酸素が、癌を作ると言われている発癌物質になってしまう。

もう一つ、鉄自体が、人体にとっても必須栄養素だが、癌細胞にとっても必須栄養素と言われていることがあげられる。過剰に鉄分を摂ってしまうと、それが癌細胞の分裂に関わって癌細胞を増やすという説が有力だ。