――「デロイトのお客さま」にするために、どんなことをしたのでしょうか?
文化を1つにしようとしたのです。
――それは、大胆ですね。相当、摩擦があったのではないでしょうか?
はい。ご想像の通り、ものすごかったです。世界各国の主要メンバーが集まった最初のミーティングで、インド人は「文化=アメリカではない」と猛烈に反発し、フランス人は「文化はそもそも違うものであり、一つにならない」と最初から決めつけ、話はまったくまとまりませんでした。それでも、デロイトは「グローバルクライアントイニシアティブ」として、300の重要なクライアントをピックアップし、国境を越えて彼らのホームドクターになることを始めました。
As Oneは、このときの経験をベースにしています。実際に、私たちの組織が行ってきた改革から得たものなのです。As Oneによって、組織の形や文化的背景は異なっても1つにまとまることができる。それは、As Oneが共働するための共通言語を与えてくれるからなのです。
――最後に、「As One」という言葉を選んだ理由を教えてください。
実は、プロジェクト開始当初は“As One”ではなく、“Collective Action(団体行動)”と呼んでいました。しかし、“Collective Action”という言葉には、チームとしての行動というよりも、組合の団体交渉といったネガティブな印象がつきまといます。そこで、よりシンプルに、より創造性を掻き立てる表現として“As One”となったのです。
次回は、As Oneの概要と行動様式モデルについてご紹介します。
※すべて雑誌掲載当時