どれだけ不快でも、金メダルを捨てることはできない
男性記者たちは、「どういうつもりだったか」ということを繰り返し聞いていた。意図を確認するのも大切だ。だが、取材相手から嫌われるリスクを冒してまで、相手の問題点を指摘するのが女性記者だったというのは象徴的だと思う。ジェンダーギャップ指数120位の国で、問題のありかに敏感なのはやはり女性だ。その目がないと、問題は温存されてしまう。
ちなみに市長の答えは、「リラックスさせるためで、そういう(セクハラ、パワハラ)方向の発言はしていないつもり」「非常にフレンドリーな状況で、(塩を塗られたと感じるような)状況は想像できなかった」というものだった。要はそういう人だ、ということははっきりしたわけだ。
そして最後に後藤選手、いや後藤さんのことを少しだけ。後藤さんはこれから、金メダルを見るたび今回のことを思い出してしまうだろう。セクハラ(またはパワハラ)された時に着ていたスーツなら、捨てればいい。だけど、金メダルを捨てることはできない。そのことが、本当に気の毒でならないし、市長のことは絶対に許してはいけないと思う。
だから、後藤さんに伝えたいことがある。一つは、トヨタ自動車がすぐに抗議のコメントを出したことの素晴らしさ。これほど早く、ビシッと抗議する会社に所属していること、誇りに思ってほしい。そして、私も含め、世の中の女性はみな怒っているということ。名古屋市役所では女性記者が市長に詰め寄り、私もささやかながらこの記事を書いた。
後藤さん、女性はみんな、あなたの味方です。もちろん、味方なのは、女性だけではないけれど、でもそのこと、時々思い出してください。どうぞ、よろしくお願いします。